マッチングアプリの普及などにより、初対面の人とデートをする機会が増えた近年。なかなか相手のことが分からず、付き合うべきか悩む人も多いでしょう。本記事では、ハーバード大学とグーグルで行動科学を研究したローガン・ウリー氏の著書『史上最も恋愛が難しい時代に 理想のパートナーと出会う方法』(河出書房新社)より一部を抜粋・再編集し、デート相手の見切りについて解説します。
「気まずいから」ではない…デート後、「音信不通」になる人の心理【ハーバード・Googleの行動科学研究者が解説】
無視ではなく、「お断りメッセージ」を送る
私はゴーストすると気分がよくなるどころか悪くなることを証明するために、ちょっとした実験を行いました。参加してくれたのは、フェイスブックと、掲示板型ソーシャルメディア、レディットを通して募集した、月に一度はゴーストするという自称「ゴースター」たちです。
調査では、ゴーストした場合と、興味がないことをストレートに伝えるメッセージを送った場合、それぞれどのような気分になるかを、五段階(「気分が悪い」から「とても気分がよい」まで)で予測してもらいました。
予想通り、ゴースターたちの大半が、ゴーストしたあとの気持ちを「普通」から「気分がよい」と予測し、お断りメッセージを送ったあとは「やや気分が悪い」「気分が悪い」と感じるだろうと予測しました。その後、被験者の半分に、実際にゴーストした翌日に自分の気分を評価するよう頼みました。残りの半分には、デート相手に二度と会いたくないと思ったら、ゴーストするのではなく、次のメッセージを送るよう指示しました。
「やあ、○○(相手の名前)。きみと○○(話した話題)について話したのはとても楽しかった。恋愛関係に発展することはないと思うけど、きみと会えて楽しかったよ」。
後者のグループには、実際に相手に送ったメッセージと、相手からの返信(もしあれば)をスクリーンショットに撮って私に送るよう頼みました。
さて、結果はどうなったと思いますか? メッセージを送っていないゴースターの大半は、自分の行動に対して「普通」から「やや気分が悪い」と評価しました。フォローアップのインビューでは、かれらは罪悪感を抱いており、初デートのあとに相手から何度も連絡があると、スマートフォンを完全に遠ざけたくなったと報告しました。
興味がないことを直接告げるメッセージを送った人たちは、三分の二の確率で相手から「正の強化」を受けました。それ以外のケースでは返信がまったくありませんでした。一件だけ、相手から何が悪かったのか問い合わせる返信があり、けんかに発展したケースがありました。
ゴーストをするとき、人は自分にとって楽な道を選んだと思っています。けれどもそれは間違いです。代わりに優しく率直で礼儀正しい道を選ぶと、正の強化を得られます。相手から、「教えてくれてありがとう。がんばってね」といった返信をもらう可能性が高くなります。ほっとしますね。相手が自分をいい人だと認めてくれたので、気分がよくなるのです。
なぜゴーストすべきでないか、納得していただけたでしょうか? でも「ありがとう。さようなら」のメッセージを書くのが難しいときもあります。だから、手間をかけないようにしましょう。スマートフォンのメモアプリに、前述の穴埋め式お断りメッセージを保存しておくといいでしょう。相手に興味がないと思ったらすぐに送るようにしてください。
【すべきこと】
1.礼儀正しく。
2.はっきりと。「恋愛には向かないと思う」「お互いに合わないと思う」といった言葉を組み合わせましょう。
3.簡潔に、優しく。心を込めたお知らせを書いているのであって、現代の恋愛の非常事態宣言を書いているのではありません(それは私の仕事です!)。
【すべきでないこと】
1.本心でないのに、「友達でいたい」と言うこと。相手が真に受けると、余計に傷つけます。
2.相手を批判したり、感想を伝えたりすること。それは余計なお世話です。あなたの出る幕ではありません。
3.相手から詳細を求められて、長々とやりとりを続けること。はっきりさせるのはいいことですが、長々と会話する義務はありません。「ゴーストバスターズ宣言」をして、自分の気持ちを正直に伝えることを誓いましょう。ゴーストするのはやめてください。自分が傷つくだけです。
ローガン・ウリー
恋愛コーチ兼マッチングアプリ研究ディレクター