デート後、音信不通になる人の心理

《ヒント》ゴーストバスターズ宣言:ゴースト禁止!

「この人とはもうデートしたくない」と思うときがかならずやってきます。そのときにどんな行動をとるべきでしょうか? 連絡()()絶つ(ゴーストする)? それは絶対に禁止です!

本書は恋愛において意図的に意志決定をくだすための本です。そこには、関係の終わらせ方も含まれています。「ゴースト」とは、「一方が他方からの返事を期待しているけれど、その返事を得られないコミュニケーション」を指します。

たとえばデートに出かけたあと、どちらもメッセージを送らない場合は互いに身を引いているのでゴーストではありません。他方、どちらかが「今日はありがとう。とても楽しかった。また会える?」とメッセージを送って、相手が返事を返さなかった場合。それがゴーストです。

なぜ人はゴーストするのでしょうか? 私はゴースト癖について何十人もの人にインタビューしました。かれらの言い分はこうです。

「もう会いたくない理由をどう説明すればいいかわからないから」「相手を拒絶するのが心苦しいから」「直接、拒絶するよりも、ゴーストして消えてしまうだけのほうが相手を傷つけないから」

人はゴーストする理由を、気まずい状況を避けて相手の気持ちを守るためだと思っています。けれどもそれは真実ではありません。第一に、ゴースト自体が気まずいものです。第二に、ゴーストは相手を傷つけ、宙ぶらりんの状態にします。これらの明白なゴーストすべきでない理由に加えて、もう一つあります。ゴーストすると、「ゴースト()した()(ゴースター)」自身が、直接気持ちを伝えた場合よりも後味の悪い結末を迎えるのです。

そこには二つの認知バイアスが関係しています。一つは、人間は感情予測(Affective Forecasting)が下手であること。つまり、私たちは未来の出来事によって生じるであろう自分の感情を予測するのが苦手であるため、誰かをゴーストしたあとの自分の気持ちを予測できません。

そして二つ目は、自分をどう捉えるかは、自分の行動に影響され、時間とともに変化すること。心理学者のダリル・ベムの自己知覚理論(Self-Perception Theory)によると、人は、自分自身の思考や感情などの内的状態にアクセスできないため、行動によって自己認識が変化するそうです。自分の行動を見て初めて、自分がどのような人間であるかわかるのです。

この理論は、ボランティア活動が幸福度を高めるもっとも確実な方法の一つであるという研究結果を説明するのに役立ちます。ボランティア活動をする人は、ボランティア活動をしない人よりもつねに幸福度と自己肯定感が高いようです。というのも、ボランティア活動をした人は自分の行動を見て、「自分の時間を人助けに使った。やはり私は心の広い人間なんだ!」と思うからです。

気まずく感じるのを避けるためにゴーストするという人がいます。けれども、自己知覚理論に従うと、ゴーストしたあと、自分の行動を見て「なんだか意地悪なことをしてしまった。私は最低の人間かもしれない」と思い、自己嫌悪に陥ることになります。