厚生労働省の人口動態統計(令和4年)によると、結婚した夫婦の4組に1組は再婚。特に近ごろはシニア層の再婚件数が増えていることがわかります。再婚自体は当然、自由意志ですが当事者間だけの問題とはいかず、トラブルとなるケースも少なくないようで……。本記事では幸利さん(仮名)の事例とともに、行政書士の露木幸彦氏が熟年再婚の注意点について解説します。
前妻との間の疎遠な30代息子・娘の教育費に“5,000万円”支払った54歳父が「アラ還再婚」を望み…資産潤沢な父の申し出に、小さく頷いた〈子の真意〉【行政書士が解説】
アラ還の再婚
定年が間近に迫った中高年のことを「アラ還」といいますが、約4年にわたるコロナ禍で意識を改めたアラ還の「おひとり様」が増えたように思えます。「いつまでも独りでいたくない! もしコロナにかかったら……」と。
万が一、感染しても現在は自宅療養が基本ですが、過去にはそのまま治療を受けられずに亡くなるケースもありました。感染時の看病はもちろんですが、自宅内の家事、そして老齢時の介護まで頼める相手がいかに大事か。人生100年時代の到来でパートナーの重要性は高まっていますが、コロナ禍でその傾向はより顕著になったといえるでしょう。
たとえば、50~54歳の未婚率は20%(2015年)。1985年は3%であったため、30年間で約7倍に増加しています(厚生労働省調べ)。
いままでずっと独身だった男性がどこの誰と結婚しようが基本的には自由です。誰に気兼ねせず、籍を入れてもいいでしょう。しかし、一度は結婚したことがある「独身」もいます。具体的には途中で死別もしくは離婚したのですが、どちらも「前の」家族がおり、再婚した場合に影響がおよびます。
筆者は行政書士・ファイナンシャルプランナーとして夫婦の悩み相談にのっていますが、今回は離婚経験のあるバツイチ男性、幸利さん(仮名/54歳)のケースを取り上げましょう。
なお、本人が特定されないように実例から大幅に変更しています。また家族の構成や年齢、離婚や再婚の経緯などは各々のケースで異なるのであくまで参考程度に考えてください。