学ぶチャンスを逃している

機会費用の一つ目は、学ぶ機会を逸していることです。さまざまな人と付き合ってみなければ、自分の好みがわかりません。デートの大半は繰り返しなので、時間をかけて学びながら少しずつ変えていくものです。とくに、パートナーに対する好みや価値観は間違っている可能性が高いものです。何かを欲して、試してみてようやく、それを望んでいないことに気づく。学んで、前に進むのです。

たとえば、マダガスカルをヒッチハイクで旅したことがあり、自分でズボンを縫う、自由奔放で浮世離れしたシルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーのようなミステリアスな人物に惹かれるかもしれません。

数ヶ月ほど付き合った結果、神秘的な雰囲気に最初は惹かれたけれど、本当は温かくて愛情にあふれた(かっこいいズボンを持っている)パートナーを求めていることに気づくかもしれません。付き合ってみなければ、どういう人物と長い時間をともに過ごしたいか気づけないのです。

私のクライアントのジンを例に見てみましょう。彼女は31歳で、初めての恋愛に挑んでいます。彼女は子どもの頃から引っ越しが多く、長く付き合う友人グループはおろか、女友達一人もできませんでした。勤勉で、ひっこみじあんな大学生活を送りました。新しい友達はできましたが、大学生の恋愛や求愛活動にはとうていなじめませんでした。

「どうアプローチすればいいかわからなかった」とジンは打ち明けました。「そんなの一度も習ったことがないもの」

大学卒業後、ジンは広告代理店にインターンとして入り、トップのコピーライターにまで上り詰めました。彼女はあこがれの自分――都会的でおもしろく情熱的――へと成長しましたが、恋人はいませんでした。あまりにも気後れしすぎて、挑戦するのを先延ばしにしていたのです。

いま、ジンは自分の経験不足がパートナー探しを難しくしていることを実感しています。「私は実験し損ねたのね。自分の好みのタイプがわからない。その情報が不足しているから、パートナーを見つけるのがほかの人よりずっと難しいみたい」

ローガン・ウリー
恋愛コーチ兼マッチングアプリ研究ディレクター