老後を年金だけで暮らすことに不安を抱えている人は少なくありません。投資で資産を増やすべく、50代や60代で新たに投資デビューをする場合、不本意な投資商品をうっかり買わないように気をつける必要がある、とファイナンシャル・プランナーであり、「グローバル・ファイナンシャル・スクール」の校長を務める市川雄一郎氏はいいます。投資初心者がやってはいけない「5つのこと」を、詳しく見ていきましょう。
50代、60代がやってはいけない投資、3つ目は?
③不動産投資
「じゃあ、不動産投資をしよう」という人もいるかもしません。否定はしませんが、50代・60代の人が、何も知らずに専門の会社に行き、「不動産を買いたいんです」「交渉をしたいんです」というと、いいようにされてしまう可能性があります。
大事なのは、知らないものに投資してはいけないということです。
実際、年利10%程度回ります、この地域であれば15%回ります、といった商品があります。しかし、これは名目上の金利と、実際に手取りで計算した金額とで異なっているのです。
日本の場合、不動産は年を追うごとに少しずつ劣化していくため、原則として不動産価値も下がっていきます。もちろん、インフレで土地の価値が高くなることで、例外的に上昇することもありますが、大抵の場合は購入時よりも価値が下がる可能性のほうが高いです。
どうしても不動産に投資したいということであれば、「不動産投資信託」というものがあります。
不動産投資信託のことを英語では「REIT(リート)」と言います。「REIT」とは、「Real Estate Investment Trust」の略です。商業施設や住居に特化したものやホテルや倉庫(物流施設)などといったものだけに特化して投資をしているもの、または複数を組み合わせたものなど、さまざまな不動産に少額で投資できるのが魅力です。
アメリカには変わったREITがあり、たとえば看板やジェイル(刑務所)などを対象にしたREITなどがあります。
それでは、日本のREITの特徴をお伝えします。日本のREITのことをJAPANのJをつけて「J-REIT(ジェーリート):といいます。J-REITは、不動産投資法人によって運用されているのですが、利益の90%超を投資家に還元するということが約束されているため、法人税がない分、上場している不動産会社の株に投資した場合とREITに投資をした場合では、利益が同じであれば、REITのほうがお得といえます。
不動産に投資をするといっても、現物に投資をするという以外に、投資信託を通じて投資をすることもできるわけです。不動産に興味がある人は、こういったものに投資をすることも、1つの案となっています。
ちなみに、日本の不動産投資信託REITの場合、利回りが高いという特徴があります。平均すると4%近いのではないかと思います。なかには、5%近く出しているリターンのあるものもあるのでぜひ調べてみてください。