暗号資産は国が発行する法定通貨とは違い、中央管理者(各国の中央銀行)なしで取引ができます。そのため、国や金融機関が麻痺してしまうような有事の際には、とくに注目が高まる傾向にあります。ここでは松嶋真倫氏の著書『暗号資産をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)より、金融危機の度に脚光を浴びてきた暗号資産の歴史について解説します。
有事の金ならぬ「有事の暗号資産」?ビットコインが“大きな金融危機”に強い理由【マネックス証券アナリストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ビットコイン相場の歴史

ビットコインの価格は、これまでも様々な出来事の影響を受けて大きく変動してきました。

[図表1]ビットコインの過去チャート(BTC/JPY)

 

2017年には日本を中心に第一次暗号資産バブルが起こりました。この時にはICO(暗号資産の新規発行による資金調達)の流行によって数多くの暗号資産が発行され、その値上がりとともにビットコインの価格も当時の史上最高値となる200万円台まで高騰しました。

 

しかし、2018年に日本で暗号資産取引所のハッキング事件が相次ぎ、これを受けて暗号資産に対する規制が強まり、ビットコインは暴落しました。2019年にはメタ(前:フェイスブック)が「リブラ」という独自の暗号資産プロジェクトを立ち上げたことが話題となり、ビットコインも価格を戻しましたが、米国を中心に各国当局の大反発にあって相場も下がりました。

 

2020年から2021年にかけて、米国を中心に第二次暗号資産バブルが起こります。新型コロナウイルスをきっかけに大規模な金融緩和によって歴史的な量のお金が市場に溢れ、あらゆる金融資産が値上がりする中で、ビットコインは史上最高値となる770万円台を記録しました。

 

その後、2022年には各国が金融引き締めへの転換に動く中、大規模な暗号資産プロジェクトの崩壊や暗号資産取引所の破綻が起こります。ビットコインの価格も暴落しました。

 

こうした問題を受け、2023年に入ってからは各国で暗号資産の規制整備が進められています。このようにビットコインはバブル的な高騰と事件による暴落、その後の規制強化を繰り返してきました。

 

 

松嶋 真倫
マネックス証券 マネックス・ユニバーシティ
暗号資産アナリスト