「30社面接に行ってみたけど、すべて落とされてしまった……。定年退職を目前に内定がもらえないなんてこたえるな。結局、このまま再雇用制度を使って今の職場でやっていくのが一番、自分のスキルを活かせるんじゃ……?」ということで今の職場にとどまることになったオダショウタさん(50歳、既婚者)。だがその後「社内資料の完全デジタル化」という全くの新しい仕事が若手ではなく、自分たちシニア社員に降ってきて……。以下事例を詳しく見ていきましょう。
「えっ、年金って減るの?」月収41万円・59歳のサラリーマン「年金月16万円」のはずが…65歳で愕然とする「年金減額」の悲劇
59歳にして初めて就職活動で挫折したショウタさん
主:その通りだ。俺は中堅大学卒だが、普通にやってれば特に苦労もなく、内定がポンポンもらえる時代だった。特に俺は就活を始めて早々に第一志望から内定をもらったから、人生で面接に落ちた記憶がない!
まさかこの年になって初めて、内定がもらえず苦しむなんて思わなかったよ。本当に自分の存在価値が否定されたように感じるんだな……。なんだかこれまでの人生まで否定されてしまった気分だよ。はは、ははは...いやいや、卑屈になっちゃいかんな。
ワ:ショウタさんすっかりしょげちゃってるね。大丈夫かなぁ…?
主:ということで俺は今の職場にとどまることになった。そんななか……
「何? 社内資料の完全デジタル化?」
59歳文系サラリーマン、社内資料の完全デジタル化に巻き込まれる
社内の古い資料なども含めて、より調べやすくするために完全デジタルに移行するということになった。
最初は若い子たちが頑張っているようだったんだが暗礁に乗り上げて、俺も手伝うことになった。というのも、うちの会社は商社だから顧客データや商品などの資料が膨大なうえ、商品によっては番号で管理されているものが多いから、どの番号がどの商品かも把握している必要があった。
おまけにうちはパソコンをかなり早い時代から取り入れてたんだが、それがよりによってパンチカードの時代だったんだ。ワープロが一般化するまではパンチカードが注文書として長いこと使われていたから、当時の注文書を読める社員がほとんどいなかった。
若い世代はこんな穴の開いた紙きれなんて見るのも初めてって奴ばかりで頭を抱えるのも無理もない。
ワ:おおー、穴がたくさん空いてる紙が読めるなんてショウタさんすごいね!
主:「えーっとこの商品は、ああ懐かしいな! これうちで青汁を初めて取り扱ったときのもんだよ。当時の商品はまずくってそこから色々改良されたのがこっちのカードの商品だな」
俺は入社当時にパンチカードの読み方とその商品について頭に叩き込むよう先輩に言われていた。いちいちマニュアルを見て調べるんじゃ時間がかかるから、ひとつひとつ覚えとけと言われて、毎日通勤や昼飯の時まで暗記してたんだ。
今にして思えば非効率にもほどがあるだろって話だとは思うんだけど、まさか入社してすぐに身に着けたスキルが今頃になって役立つとは思わなかったよ。俺はやれるだけのことをやり、社内資料の完全デジタル化プロジェクトは軌道に乗った。
(数ヵ月後)