マイホーム購入を検討する際、「戸建て」か「マンション」で悩む人も多いのではないでしょうか。マンションを選択する場合、物件購入費のほかに必ずかかる費用が「管理費」と「修繕積立費」です。決して安価とはいえないこれらの費用ですが、購入時の金額より「値上がり」するケースが増えているといいます。マンションの管理費・修繕積立費の現状について、ファイナンシャルプランナーの中山梨沙氏が解説します。
こんなはずじゃなかった…マンションの管理費・修繕積立金の「値上がり」が避けられない、これだけの理由【FPが対応策を伝授】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「管理費」と「修繕積立金」はどんな用途に使われるのか?

「1964年の東京オリンピックをきっかけに、建設ラッシュが始まった「マンション」。原宿駅前の「コープオリンピア」は、第1次マンションブームの代名詞といえるでしょう。その後、耐震技術の進歩などを経て、2000年代の「タワマンブーム」に突入し、今に至ります。首都圏を中心に、現在もマンションは急速に増えており、これから分譲マンションの購入を考えている人、もしくはすでに分譲マンションに居住している人も多いかと思います。

 

マンションを購入する際、必ず知っておきたいのが、マンションの維持費用、すなわち「管理費・修繕積立金」についてです。もちろん、それらを踏まえたうえで、購入を検討する人が多数派だと思います。しかしながら、管理費・修繕積立金が、状況の変化や時の経過とともに値上がりすることについては想定できているでしょうか? 「こんなはずじゃなかった……」とならないためにも、事前に知っておくことが大切です。

 

まずは、管理費と修繕積立金は、いったいどのような名目で使われているのか、見ていきましょう。管理費は、マンションの共有部分の清掃や設備点検など、住みやすさを維持していくために使われるお金です。管理費は、共用部分が充実しているほど高額になります。

 

例えば、マンション内にジムが併設されていたり、ゲストルームが沢山あったり、滝があったり、そのような場合は、維持に多額のお金がかかります。国土交通省の調べでは、関東のマンション管理費の平均は、月額1万6,000円程度といわれています。

 

一方、修繕積立金は、将来的に発生しうる共用部分の大規模な修繕に備えて積み立てるお金です。外壁の塗り替えやエレベーターの交換といった、経年劣化に対応する工事、エントランスやロビーの改装、自然災害や事故による修復工事などが、おもな修繕積立金の使い道です。これらは大体15年前後で発生します。関東のマンションの修繕積立金は、月額1万4,000円程度が平均です。

 

実際、エレベーターを新調するには、1基あたり1,200~1,500万円かかるといわれています。その金額を聞けば、必要なときに一気に集金されるより、コツコツ集めてもらったほうがよいと、おわかりいただけるでしょう。

 

とはいえ、月々の住宅ローン返済に加え、管理費と修繕積立費を合わせると3万円程度が毎月かかるのは、大きな負担です。さらに値上がりとなると、家計のひっ迫は免れません。なぜ、このような事態が増えているのでしょうか? それぞれの要因について解説していきます。