マイホーム購入を検討する際、「戸建て」か「マンション」で悩む人も多いのではないでしょうか。マンションを選択する場合、物件購入費のほかに必ずかかる費用が「管理費」と「修繕積立費」です。決して安価とはいえないこれらの費用ですが、購入時の金額より「値上がり」するケースが増えているといいます。マンションの管理費・修繕積立費の現状について、ファイナンシャルプランナーの中山梨沙氏が解説します。
こんなはずじゃなかった…マンションの管理費・修繕積立金の「値上がり」が避けられない、これだけの理由【FPが対応策を伝授】 (※写真はイメージです/PIXTA)

こんなはずじゃなかった…マンションの「管理費・修繕積立費」が上げるワケ

まずは、管理費からです。ここでは下記の3つの要因に焦点をあてて説明します。

 

・人件費の高騰

・電気代の値上がり

・駐車場契約者の減少

 

1つ目は「人件費の高騰」です。日本は深刻な少子高齢化のため、労働力が不足しています。そうした局面では、「売り手市場」となり、条件の悪い仕事は、働き手に選ばれない傾向が強まります。その流れで、共用部分の清掃や点検をするマンション管理人の人手不足も、近年、深刻化しています。

 

2つ目は「電気代の値上がり」です。ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、世界的に資源価格が高騰しました。当然、日本も大きく影響を受けています。共用部分の電気や空調にかかるコストが上がっているのです。

 

3つ目は「駐車場契約者の減少」です。マンションによっては、駐車場代を管理費収入に含めるケースが少なくありませんが、昨今、カーシェアの利用率が増え、マイカーを持たない世帯が出てきました。駐車場収入自体が減少しているマンションが出てきているのが現状です。

 

続いて、修繕積立金の上昇要因です。下記3点の要因が考えられます。

 

・甘い大規模修繕

・計画管理会社に任せっきり

・材料費の高騰

 

1つ目は「甘い大規模修繕計画」です。修繕にかかる費用を安く見積もっていれば、当然不足が発生します。なかには、あえて販売時に安くしている場合があります。マンションを販売する際、維持費を低く見せたほうが売りやすいからです。

 

2つ目は、「管理会社に任せっきり」というケースです。マンションの管理は、所有者で構成される管理組合でおこなうものですが、ほとんどの場合実務を管理会社に委託しています。便利な一方で、デメリットもあります。というのも、管理会社は、管理組合の財務状況を把握しているからです。

 

管理組合が、大規模修繕にいくら払えるのか、限度額を把握しているため、それに合わせて、不要な工事を足されたり、工事費用を高めに設定されたりする場合があります。また、管理会社は、管理組合からの一任で動いているため、見積もりを複数社に依頼せず、親しい施工業者に発注するケースも散見されます。

 

3つ目が「材料費の高騰」です。経済産業省の調べによると、ウッドショックによって集成材と製材の輸入物価指数は、ここ数年で2倍以上になったといわれています。新型コロナウィルスの流行により、米国内の住宅需要が高まり、今まで輸出していた木材を自国で消費するようになったのも大きな要因です。鋼材は、経済活動の再開後、一変して需要が高まったため、高騰しました。木材にしろ、鋼材にしろ、日本は輸入に頼っているため、現状の円安水準ではコスト高に繋がっています。