FPが提案した「2つ」の対策

1.まずは資産の棚卸しから

多くの日本人は、生命保険に加入しています。生命保険には掛け捨ての商品もありますが、「個人年金保険」「養老保険」「終身保険」など掛金が貯まる貯蓄型の商品もあります。

この貯蓄型保険から満期金や解約払戻金がいくらあるかを確認すると、世帯によっては予想外に資金に余裕がある場合もあります。

誠さん夫婦も貯蓄型の生命保険に加入しており、満期金・解約返戻金は1,000万円ほどあることがわかりました。

2.「投資信託」や「債券投資」で、余剰資金を運用する

「1,000万円もあるんですか!」と安堵の表情を見せた誠さんですが、夫婦の将来のことを考えると、介護などに備えてもう少し金銭的な余裕をつくっておきたいところです。

いきなり株式投資は抵抗のあった誠さんですが、株式投資よりもリスクの低い「投資信託」や「債券投資」の説明をしたところ、興味を示されました。仮に、1,000万円を無理せずに年利1~5%程度で運用することができれば、年間10~50万円程度(税金は考慮せず)の資産収入が得られます。

加入している生命保険の予定利率が高ければ解約する必要はありませんが、利率が低い場合には、保険を解約して資産運用に回すというのも選択肢のひとつです。

住宅ローンの全額返済は慎重に

退職金はまとまったお金が手に入ることから、「借金を返したい!」と住宅ローンを全額返済したくなりますが、よく考えてから手続きを進めましょう。預貯金のままであればいつでも手元に引き出すことができますが、繰上返済した場合には持ち家を売却しない限り、手元に現金は戻りません。

将来に必要になりそうな資金と手元資金を計算して、無理のない金額を返済するようにしましょう。

また、勉強せずに投資にチャレンジするのは考えものですが、怖いからといってまったく手をつけないのももったいないことです。政策金利が少し上がったとはいえ、預貯金ではお金はほとんど増えませんから、まずは少額から始めてみることをおすすめします。

判断が難しい場合には、資産運用と生命保険の両方に詳しい専門家に相談してみましょう。

武田 拓也
株式会社FAMORE
代表取締役