同じ業種であっても、勤める会社が大企業か、中小企業かによって賃金には大きな差があります。では、定年まで勤めるとどれほどの差が生じるのでしょうか? 本記事では、Bさんの事例とともに、大企業と中小企業の賃金格差について社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。
年収640万円だった62歳・元大卒会社員、定年後「満足の会社員人生だった」としんみりも…20年ぶり再会の〈大企業組同級生〉の“懐事情”に猛烈ジェラシー【FPの助言】
年齢が上がるにつれて差が広がる賃金
一般的に、大企業に就職すると、長く勤めることができればスキルアップしながら給与も順調に上がり、いわゆる「勝ち組」といわれる人生になるのかもしれません。しかし当然、誰しもが大企業に入社するわけでもなく、また、大企業に入社できたからとしてもやりがいのある仕事、継続できる仕事というわけではないでしょう。
大企業と中企業、小企業の賃金を比較してみます。厚生労働省の賃金構造基本統計調査から、大企業と中企業、小企業では、入社時は8,000円~1万4,000円の差ですが、年齢があがるにつれて差が広がっていき、定年間近になると男性では10万円以上の差が生じ、また男女間の差も大きくなっていることがわかります。
大企業で働いてきた最高年収1,000万円超えのAさんと、中小企業で働いてきた年収640万円のBさん。2人は同じ大学の同級生で現在62歳。定年退職後の同窓会で再会した2人ですが、お財布事情はだいぶ違っていたようです。
AさんとBさんは大学卒業後に就職した会社で定年まで働き続けました。前段で、企業規模によって年齢を重ねるごとに賃金の差の開きが生じていました。では生涯賃金にしてみるとどのくらいの差が生じてくるのでしょうか?
図表2のとおり、すでに大きな差が開いていますが、退職金を含めると、さらに差が広がるのがわかります。
図表3のように、企業規模で生涯賃金は約9,000万円の差が生じているのです。定年前後の同窓会では学生時代の昔話だけでなく、社会に出てからの自慢話や老後の話に花が咲くことが多いですが、Aさん、Bさんたちも例外ではありませんでした。