調停離婚しても面会交流叶わず…

子どもが好きなAさんは結婚相談所で知り合った、同じく子ども好きの女性と36歳で結婚。40歳のときに念願叶って男の子を授かりました。しかしながら4年後、妻とは調停離婚することに。最も大きな原因は、妻の家族の宗教でした。

当時、Aさんの息子は4歳。不貞もなく、財布も妻に渡し、休日は家族で過ごすことを第一優先していましたが、義実家とのトラブルが絶えず、夫婦仲はだんだんと悪化。離婚が決まったとき、息子が幼かったこともあり、母親についていったほうがよいという考えに同意して親権は争いませんでした。その代わり、月に1回は必ず会うということを取り決めました。しかしそれが守られたのは最初の4回だけで、以降は会わせてもらえないまま、16年が経過してしまいました。

最初にきちんと決めたから、問題ないなどということはなく、Aさんのケースでは離婚調停が無意味となってしまったのです。面会調停も1年やりましたが、元妻から「子どもが会いたくないといっている」「子どもが風邪をひいた」そういった理由をつけて、会うことは叶わず、時間の無駄でした。調停員も自分には他人事のように仕方がないといわんばかりにみえました。そのため1年後には調停を取り下げ、会うことを諦めました。

それでも息子名義の口座には毎月お金を入れ、手紙を何通も書きました。ですが、手紙に返事が届くことはありませんでした。

成人した息子から届いた一通の手紙

今日は、面会交流を諦めてから16年の月日が過ぎた息子の20歳の誕生日。Aさんはひとり居酒屋でビールを飲みながら、「息子が目の前にいたら、一緒に居酒屋でビール片手にお祝いができただろう。身長は自分より高くなったのだろうか。大学生になったのだろうか」と思いを馳せます。会えなくても息子のはたちを静かに祝い、帰宅しました。

いつもどおり郵便受けをチェックすると、手紙が届いていることに気が付きます。差出人を見ると、そこには息子の名前が……。

20歳になった息子から初めて返事が来ました。なかには『会いたい』の文字。手紙に記載されていた携帯番号に電話し、16年ぶりの再会を約束します。調停はまったくの無意味でしたが、息子からの手紙に救われその場で号泣しました。