早期退職後、好きなことを仕事に…想定外の展開に

千葉さんは、食品会社で事務を手がけていました。さまざまな食品を扱う卸問屋で、倉庫に行けば、いろいろな食品が並んでいます。

「食品に囲まれているとしあわせ。という千葉さんは無類の料理好き。食品会社が年に一度、地域の住民向けに開催する「ふれあいバザー」では、郷土料理の担当として来場者に振る舞うなど、大活躍していました。そんな千葉さんにも、50歳の早期退職の話が持ちかけられました。

シングルマザーとして育ててきた子どもたちも独り立ちし、日ごろから、「あとは、余生を楽しく過ごすだけ」と、漠然と考えていた千葉さんは、これを機会に会社を辞めることを決断します。

そして、なんと親戚が保有する山奥の小さな古民家の一軒家で、「釜めし屋」を開くことにしたのです。小さな一軒家なので、「1日5食限定」でのスタート。

なぜ、釜めしかとたずねると、「材料を火にかけて蒸らすだけでできて、従業員もいらないから」とのこと。また、1日5食×800円なら、4,000円の収入になる。

家賃は、月1万円。材料費は1日1,000円もかからないから、千葉さんの一人暮らしの生活費としては十分、という腹づもりでスタートしたのだそうです。

ところが、ありがたいことに、「山奥にある、1日5食限定の釜めし屋」という珍しさと、美味しい釜めしにつられて、連日お客様がひっきりなしに来店するほどに繁盛することに。

そして、1年後には従業員も3名雇い、隣の母屋まで借りて店舗を拡張しました。

今は、バスで駅から店まで送迎するほどに大繁盛しています。

料理好きで腕前にも定評があった千葉さんの「無形資産」が活きた成功事例と言えるでしょう。