スーパーマーケットやレストランで購入できるお惣菜。お手頃な価格で、冷めてもおいしい商品が増えていると思いませんか? 実はそれらを支えるのが、テクノロジーとAI。総菜作りの舞台裏では目まぐるしい進化が起こっています。しかもそれはおいしさを叶えるだけではなく、人手不足やフードロスを解決するような画期的な取り組みがすでに導入されているのです。そこで今回は、「お惣菜×テクノロジー」をテーマに、画期的な事例を3つご紹介していきたいと思います。
スーパー・レストランの総菜作りはロボット活躍の時代へ フードテック躍進の舞台裏

2020年度から経産省が推進を開始した「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」とは

食品製造分野においては、年々人手不足が深刻化しています。ところが、惣菜・お弁当などの中食の盛り付け工程は自動化の難易度が高いという問題点があり、工程の大半を人手で行っていました。

 

その状況が変わるきっかけとなったのが、2020年。労働生産性向上のみならずコロナ禍によって工場における三密(密閉・密集・密接)回避の重要度が高まったことで、経済産業省が2020年度から「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」の推進をスタートしました。

 

この取り組みは国の予算を受けた本格的な事業。採択された日本惣菜協会主導で、小売り・惣菜製造会社や課題解決のためのトップ技術を有する企業とともに、ロボットフレンドリーな環境構築を目指して惣菜工場でのロボット試験導入がはじまりました。

 

開始後の注目事例としては、株式会社「アールティ」(東京都千代田区)が開発、販売する人型協働ロボット「Foodly(フードリー)」。食品工場の弁当・惣菜製造ラインにおいて、独自のAIビジョンシステム※によりばら積みの食材をひとつひとつ認識してピッキングし、ベルトコンベア上の容器に盛り付ける人型協働ロボットです。人ひとり分のスペースで稼働し、人と柵なしで隣り合って作業ができる特長があります。

 

そしてもう一つは、「コネクテッドロボティクス株式会社」(東京都小金井市)の事例。2024年の今年3月、惣菜盛付の全工程(容器供給~盛り付け~検査~包装)においてロボット化に成功しました。

 

すでに「バリュ東海株式会社」の長泉工場の惣菜製造現場において、容器供給機に加えて、同社の開発した盛付ロボットシステム「Delibot(デリボット)」、「AI検査ソフトウェア」を搭載した、AI品位検査装置が導入されています。

 

ひじき、ほうれん草の胡麻和え、ほうれん草の白和え、卯の花、などの和惣菜を扱う製造ラインをロボット化することに成功しています。

 

※コンピューターが自動的に大量の視覚データの中から特定のモノを発見する技術を活用したシステムのことで、事前に食材や容器の学習をさせることが必要。