疲れをとる入浴のポイント

さて、それでは湯船に浸かるときのポイントをご紹介します。

①温度は40℃

温度は40℃がよいでしょう。これは人によっては「すこしぬるいかな」と感じる温度設定かもしれません。

この温度の利点は、幅広い年齢層・体力層にとって低リスクだというところです。のぼせやヒートショックなどの体調不良を起こしにくいという安全面の他、10〜15分くらいの入浴時間でも十分に体が温まるので血液の流れもよくなり、疲労回復やリフレッシュ、体の痛みの改善につながります。

②「全身浴」で肩まで浸かる

半身浴より全身浴のほうが健康効果は高いので、しっかり肩まで浸かることが大切です。静水圧と浮力の作用により、体の隅々にまで血液を送ることができますし、温熱効果もアップします。

注意点は2つ。いきなり浴槽に浸からないこと。まずかけ湯でお湯に体を慣らしましょう。また、心臓や呼吸器に疾患のある方はあらかじめ主治医に相談しておくことです。肩までお湯に浸かると息苦しく感じる人は無理せず半身浴にします。

③浸かる時間は、10分から15分

入浴の際は、「長く入らなければ!」という気負いは必要ありません。10分〜15分で大丈夫。その代わり、毎日湯船に浸かることが大切です。

これくらいの時間ならば、心身に大きな負担はかかりませんし、しっかりと体が温まります。顔や額が汗ばんでくるくらいが目安です。

万が一ちょっと息苦しいときは、自律神経のスイッチが交感神経に入っていることもあるので、浴槽から出て休んでください。心臓、血管、呼吸器に疾患がある方は注意が必要です。

また、汗を流しながら我慢してお湯に浸かり続けると、入浴熱中症(のぼせ)になってしまいます。

健康を求める入浴で体調を崩したら本末転倒ですので、お風呂の我慢大会は控えてください。

④入浴剤でリラックス効果アップ!

血流アップ&疲労物質除去効果がある「硫酸ナトリウム」を含む入浴剤を使用するのもいいでしょう。泡が出る「炭酸系」入浴剤は血管を拡張させて血流を改善させます。

また自分のお気に入りの香りを胸いっぱいに吸い込むことで、リラックス効果を高めることができます。

⑤入浴後は、温熱効果を逃がさない!

お風呂から出た後は、裸でのんびりするのは厳禁。早めにタオルで水分をふき取り、毛布や布団にくるまりましょう。お風呂で汗をかいた後、扇風機や冷房で涼むのは、基本的にNGです(のぼせてしまった場合は別)。せっかく温まった体が冷めてしまい、血流のよい状態がすぐに終わってしまいます。

私は、このぬるめのお湯に短時間浸かるシンプルな入浴法を「健康手抜き風呂」として紹介しています。

毎日湯船に浸かることは、働く現役世代だけでなく、ご高齢の方にも有益です。近年の研究で、毎日の入浴が要介護状態になるのを予防することもわかってきました。言い換えれば、毎日のお風呂は健康寿命を延ばす、とも言えるかもしれません。

まずは、いろいろ面倒なことは考えずに毎日湯船に浸かることが一番大切です。

今日からできる! 疲れがとれる入浴法

1.温度は40℃に。

2.「全身浴」でしっかり肩まで浸かる

3.浸かる時間は10分から15分。

4.お気に入りの入浴剤でリラックス

5.出た後は、体を冷まさないように


早坂 信哉
温泉療法専門医