日々の疲れを癒すために欠かせない「入浴」。しかし毎年、お風呂での死亡者が数多く出ているという事実があります。温泉療法専門医である早坂信哉氏の著書『最高の入浴法 お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)より、安全にお風呂を楽しむために、避けておきたい入浴時の「NG行動」について、詳しくみていきましょう。
熱いお湯にいきなり肩まで浸かるのはNG
子どもの頃、親に「肩までしっかり浸かりなさい」と言われた人も多いかもしれません。しかし、熱いお湯に、いきなり肩まで浸かるのはNG。急な温熱刺激で血圧が上がりすぎてしまう恐れがあります。
脱衣室を温めておく、湯を熱くしすぎない、といった点を注意すれば、この危険を回避できます。
脱衣室は暖房をかけておくなどしてリビングとの温度差を5℃以内に減らし、20℃以上を保つような工夫をしましょう。さらに、ふたを開けて湯船に湯を張り、入浴前にシャワーのかけ流しで湯気を立てて浴室を温めます。
また、湯の温度も冬こそ40℃までとして、熱くしすぎないことです。湯船に入る前には十分にかけ湯をして、体を湯に慣らしてからゆっくりと入るようにします。
水分補給は、安全な入浴には必須です。入浴でたくさんの汗をかくと水分やミネラル分が失われますので、入浴前後の水分とミネラル補給にミネラル入り麦茶を飲むことをおすすめしています。
その理由は、汗と一緒に失われたミネラルが補給できることはもちろん、無糖で、カフェインを含まないため毎日健康的に飲めることです。さらに血流改善効果や血圧低下作用などの効果も最近の研究で報告されていますので、浴室熱中症や血栓対策として飲用することも推奨できます。
ヒートショックの予防法
・お風呂に入る前にコップ1杯の水を飲む。
・脱衣場を温めて、浴室は蒸気を立たせておく(浴室と脱衣所の温度差をなくしましょう)。
・酔っているときは入らない(アルコールは血圧を下げすぎてしまいます)。
・入る前に、家族の誰かに声をかけておく。
・かけ湯をしてから浴槽に入る(心臓から遠い四肢から始める)。
・湯船で座っている状態から立つときは、立ちくらみ予防のため、水を手にかけるなど冷たいものに触り、ゆっくり立ち上がる(寒冷刺激といって、皮膚に冷たい刺激を与えると血圧を適度に上げる効果があります)。
・浴槽では居眠りをしない。意識がなくなると湯船で溺れる危険があります。
早坂 信哉
温泉療法専門医