「道長さまの希望をかなえなければ」越前に赴いた為時

――越前守になって

岸谷五朗さん(以下、岸谷):当然やる気に満ちていて。

為時さんという人は、人の恩をちゃんと返さなければならないということを常に思っている人。こういうこと(越前守に任命されたこと)になったのは、どなたのおかげでどなたの心配りでありということをちゃんと踏まえている人なので、実はまひろの力があることももちろんわかっているんですけど、でもやっぱり左大臣(道長)さまに対しての恩を相当抱えている。

越前守の職務に就くにあたり、(道長さまの)希望をかなえなければいけないという命(めい)に関して成し遂げようという志だと思うんですけどね。未知なる世界に挑む感じでしょうね。

おそらく作品の中では短いカットですが、みんなで道中ずっと旅をして着くまでの間、心の中いっぱいだったんじゃないかなと思います。

(C)NHK
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宋語の詩を暗唱先生からの「95点ですよ」に喜ぶも…

――宋語セリフについて

岸谷:そんなにしゃべるって聞いてなかったので(笑)。為時さんは少ししか分からない人なので「しゃべることはないです」と聞いていたら、漢詩を宋語に変えてみんなの前で発表するっていうシーンがあって、しかも長いんですよ。久しぶりに暗記することに苦労しました。

難しいし、もちろん中国語の先生に習って……すごくうれしかったことは、宋語の詩をバーッと10行くらいの詩を読んだときに宋の発音とかを勉強してやったら、先生が「これ95点ですよ」って言われて「やったー!」と思ったら、監督から「もっと下手にやってください」って言われて(笑)。

せっかく一生懸命先生について勉強したのに独特の言葉のやり方があるんですよね。ちょっと日本語ではない、その辺を随所に先生に指導してもらって。うますぎるからもっと下手にやってくれって。「下手にやれ」って(言われて)こんなにがっかりしたことはありませんでしたね。

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