目上の人や取引先などに対して「これが正しい」と使っている言い回しの数々、実は間違っているかもしれません。今回は特にビジネスシーンでよく登場することばに注目して、あらためて適切な日本語について考えます。ドキッとしたあなたは、ここで一緒に確認してみましょう。
取引先との電話「A部長はお休みをいただいております」→この日本語、実は間違っていた…!適切な言い回しとは?【大学教授が解説】
接客で、知らずしらず恥をかかないために
・お求めやすい商品です…×
・お求めになりやすい商品です…〇
日本語も英語も同じですが、日常で使う言葉はどんどん簡単になっていきます。とくに現代のように早口の人が増えてくると、発音しやすくしようとして、言いにくい言葉を削ぎ落とそうとするのです。
じつは、「お求めやすい商品です」「お求めやすい価格です」というのも、この現象から生まれた表現のひとつで、文法的には誤りです。
「求める」という言葉は、ここでは「購入する」の意味で使われており、それに「お」をつけて丁寧な言葉にされています。「お求め」は名詞ですから、これを動詞にするなら「お求めになる」となります。
そして、「お求めになる」ことが、金額的に「容易(たやす)い」「簡単です」という意味なので、本来なら「お求めになりやすい商品です」と言わなければなりません。
ところが、「お求め―になり─やすい」の「になり」の部分は、早口で話すと、ナ行の二つの音が曖昧になり、「にな」の後の「り」が言いにくいので音が欠落してしまうのです。
さて、舌の動きを活発にすることは、アンチエイジングにもいいと言われています。間違った言い方をやめるためにも、ゆっくり話して、正しい日本語で人に言葉を伝え、さらにアンチエイジングにも活かしてもらえればと思うのです。