腸活というと「何を食べるか?」に目がいきがちですが、「いつ食べるか?」も重要です。そこで本稿では、長年腸内細菌を研究し続けている医学博士の内藤裕二氏による著書『70歳からの腸活』(エクスナレッジ)から一部抜粋して、腸活に効果的な食事や睡眠の実践方法について解説します。
睡眠の質をよくするには?
自分が決めた寝る時間の3時間前に、食事やアルコールを制限しないと睡眠の質が悪くなります。
睡眠の質が悪いと翌日の仕事のパフォーマンスも悪くなります。逆に質のよい睡眠がとれれば、仕事のパフォーマンスは向上します。70歳というと、もう仕事をリタイアした人もいるかと思いますが、1日中ボーッとしているより、活動的に過ごしたほうが快適でしょう。とくにこのくらいの年齢になると、寝付きが悪かったり、朝早く目覚めるなど、睡眠の質が低下しがちなので、よい睡眠をとることが大事です。もちろんこれまで述べてきたように、睡眠の質が悪いと腸内フローラも悪化します。
私は自分の睡眠の質をモニタリングしています。今はスマホや腕時計型のデバイス(情報端末)を用いて、誰でも簡単に自分の睡眠の質を知ることができます。
それでわかったことは、自分が決めた寝る時間の3時間前から睡眠の準備に入るのがよいということ。ですから、晩ごはんはどんなに遅くても、寝る3時間前には終えていなければなりませんし、お酒を飲むのもやめたほうがよいのです。
筑波大学の柳沢正史先生(国際統合睡眠医科学研究機構機構長)は、睡眠に関する研究の世界的なトップランナーですが、この先生方の研究で、睡眠と老化、睡眠と寿命に密接な関係があることがわかってきています。睡眠の質が悪いと老化も進むし、寿命も短くなるわけです。
睡眠の質をよくするには、睡眠時間を十分とったほうがよいのですが、睡眠時間には個人差があります。日本人を含めて東アジアの人たちは、欧米の人に比べて1時間くらい睡眠時間が短くても大丈夫だというデータもあるようです。時間にすると約6時間睡眠ですもちろん、誰にでもあてはまるわけではないので、6時間で足りない人は7時間、あるいは8時間眠る必要があります。
そして体内時計を狂わせないためには、朝は6~7時くらいには起きて、夜はどんなに遅くても12時前には寝たほうがよいでしょう。
あと昼食後などに眠くなる人がいますが、長い昼寝をすると体内時計が狂って、夜寝られなくなってしまいます。眠くてしょうがないとき、ごく短い昼寝が疲労回復に有効だといわれていますが、その時間は15分くらいです。
私は朝6時20分に起きています。そして夜12時以降、仕事をするのをやめました。翌日の仕事のパフォーマンスに悪影響を起こしてまで、夜遅く仕事をするのは意味がありません。その効果は睡眠モニターでも立証されています。