生き生きと快活に年を重ねるためには、心身ともに健康であることが大切です。なるべくストレスを溜めずに、のびのびと過ごすために必要な心がけとはどのようなものなのでしょうか。心理学者である内藤誼人氏の著書『老いを楽しむ心理学』(ワニブックス)より、詳しく見ていきましょう。
ストレスにさらされると「一気に老けた気がする」のは錯覚ではなかった!…若々しさをキープするための日常生活の「ひと工夫」【心理学者が解説】
何事も完璧にやろうとしない
掃除でも、仕事でも、何でもそうだと思うのですが、すべてを完璧にやろうとするとものすごく疲れます。何事も「ほどほどでいいや」の精神を持ちましょう。
掃除なら、天井から床までピカピカに磨き上げようとするのではなく、見える場所だけササっと拭いておくくらいにするのです。庭の草むしりをするときには、一本一本の雑草の根っこまで抜こうとするのではなく、目に余るような部分だけ、適当に草むしりをしておくだけでよいのです。
どれくらいいいかげんにやるかは自分の判断でよいのですが、とにかく疲れないように気をつけましょう。
スイスにあるチューリッヒ大学のペトラ・ワーツは、50名の健康な中年男性に、完璧主義を測定する心理テストを受けてもらってから、だ液を採取させてもらい、コルチゾールの値を調べてストレスレベルを測定してみました。その結果、完璧主義であればあるほど、ストレスを感じやすいことがわかったのです。
完璧にやろうとすると、ストレスがたまるのです。
当たり前のお話ですが、完璧にやろうとすると、手抜きができません。全神経を集中させてピリピリしていなければなりません。これは、ものすごく疲れます。したがって、何事も半分くらいできれば、「それでよし」という自分なりのルールを決めておくのです。自分に厳しいルールを課すのをやめましょう。たまには、ちょっとくらい手抜きをしたってよいではありませんか。そのほうが人間らしいともいえます。
料理を作るときにも、すべてをレシピ通りにやろうとするのではなく、少しくらい雑でいいのです。お風呂掃除も、浴槽をピカピカにする必要はありません。表面を軽く拭いておくだけでも、やらないよりはずっとマシです。
洗濯物を畳むときにも、適当に畳むようにするのです。読書をするときには、きちんと最初から最後まで精読するのではなく、適当に流し読みでもOKです。
いいかげんにやるのは、まことに気分がいいものですよ。おかしなプレッシャーも感じませんし、神経がピリピリすることもなく、のびのびと暮らすのがポイントです。
内藤 誼人
心理学者