離れて暮らす高齢の親を気にかけていても、電話の向こうの「大丈夫」を信じて、しばらく会っていないという人も多いでしょう。しかし、元気だと思っていたら、いざ実家に足を運んで愕然とすることも。55歳のAさんが半年ぶりに実家へ帰省したところ、厳格な父に「まさかの変化」がありました。実例をみていきましょう。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが解説します。
年金月23万円“余裕の老後”を満喫する父だったが…55歳長男、半年ぶりの実家で目にした〈まさかの光景〉に唖然「なにかの間違いだろ」【FPの助言】
厳格な父親に、いったいなにが…55歳長男が目撃した「まさか」の光景
都内の上場企業で管理職を務めるAさん(55歳)には、最近非常にショックな出来事がありました。それは、父親の「変化」です。
Aさんの父親Oさんは元警察官で、まじめで厳格な性格でした。怒ると怖いところはあったものの、Aさんはそんな父親を子どものころから尊敬し、背中を見て育ってきました。
定年後は、月23万円の年金を受け取りながら余裕のある生活を送っていたOさんですが、妻(Aさんにとっての母)Kさんが病気で先に亡くなってしまったことをきっかけに、様子がおかしくなってしまったのです。
実家の玄関は、足の踏み場もないほどモノで溢れ…父の異変
Kさんが亡くなってから初めてのお盆。Aさんが家族を連れて半年ぶりに実家へ帰省した日のことです。慣れ親しんだ玄関のドアを開けたところ、「まさかの光景」が飛び込んできました。
「えっ、なんだこれ……父さん、なにかの間違いだろ?」
食材や服、日用雑貨、本……床は所狭しとたくさんのモノで埋め尽くされており、鼻をつく異臭が漂っています。なんとかリビングに進みましたが、足の踏み場もないほどモノであふれていました。半年前とあまりにも違う実家の様子に、しばらく唖然としてしまったAさん。なかなか現実を受け入れることができません。
「父さん!?」慌てて父親を呼ぶと、部屋の奥のほうから、身なりも小汚く、不健康そうになったOさんがゆっくり出てきました。
月に1度は電話で連絡をとっていたAさんと父。妻を失い少々寂しそうではあったものの、電話口では特段変わった感じはありませんでした。
Aさんは「父が認知症になったのではないか」と疑いましたが、物忘れなどはなく、会話も以前のように成立します。医療従事者の友人に相談したところ、「お父さんは、『買い物依存症になったのではないか』」という話になりました。