離れて暮らす高齢の親を気にかけていても、電話の向こうの「大丈夫」を信じて、しばらく会っていないという人も多いでしょう。しかし、元気だと思っていたら、いざ実家に足を運んで愕然とすることも。55歳のAさんが半年ぶりに実家へ帰省したところ、厳格な父に「まさかの変化」がありました。実例をみていきましょう。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが解説します。
年金月23万円“余裕の老後”を満喫する父だったが…55歳長男、半年ぶりの実家で目にした〈まさかの光景〉に唖然「なにかの間違いだろ」【FPの助言】
FPがAさんに提案した「4つ」の救済策
Aさんからひととおり話を聞いた筆者は、現状を打開する方法として次の4つを提案しました。
1.健康的な習慣づくり
ストレスや寂しさを和らげるため、適度に運動する習慣をつけることや趣味を持つことで、買い物以外の活動に時間とエネルギーを費やすことができます。植物を育てたり、ペットを飼うなど、癒しを得られる生き物に触れるのもよいでしょう。
2.メンタルクリニックの受診
メンタルクリニックを受診し専門家の支援を受けることで、買い物依存症を解決するためのプロによるサポートを受けることができます。具体的には心理療法やカウンセリングといった方法がありますが、心理療法では、買い物をしたくなるキッカケや行動パターンを特定し、正常な行動への変化を促します。
3.家計の見直し
むやみに買い物をするのではなく、事前に予算を立てたりクレジットカードの利用を制限することで、無駄な買い物を減らすことができるでしょう。ネットショッピングサイトにおいてはクレジットカードとの紐づけを解除することも選択肢のひとつです。
また、買い物をする前に購入品リストを作成し買いたいものを可視化することで、それが本当に自分に必要なものかどうかを確かめることができます。
4.父親と一緒に生活する
1人で過ごしていると刺激がなく、気分も低下してしまいます。可能であれば家族と一緒に生活することで、生活環境の改善を図ることができるでしょう。
家族と過ごすことでOさんも再び役割を持ち、生活にもメリハリが生まれるはずです。信頼できる人との関係を活用することは、買い物依存症の解決にも効果的です。
筆者の助言を聞いたAさんの決断と父の変化
筆者から助言を受けたAさんは、父に対して、まず②のメンタルクリニックの受診を促しました。当初は「俺は大丈夫だから」と抵抗していた父親でしたが、長男の心からの説得に折れ、渋々受診。
しかし、カウンセリングや診察で繰り返し自分の気持ちを言葉にすることによって、しだいに心も前向きになっていきました。
やがてOさんは自宅で小さな植物を育て始め、毎日の水やりが習慣になったことでさらに気持ちが安定。買い物依存症も少しずつ落ち着いてきたそうです。
武田 拓也
株式会社FAMORE
代表取締役