離れて暮らす高齢の親を気にかけていても、電話の向こうの「大丈夫」を信じて、しばらく会っていないという人も多いでしょう。しかし、元気だと思っていたら、いざ実家に足を運んで愕然とすることも。55歳のAさんが半年ぶりに実家へ帰省したところ、厳格な父に「まさかの変化」がありました。実例をみていきましょう。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが解説します。
年金月23万円“余裕の老後”を満喫する父だったが…55歳長男、半年ぶりの実家で目にした〈まさかの光景〉に唖然「なにかの間違いだろ」【FPの助言】
「広告」が引き金となることも…「買い物依存症」に陥る3つの要因
「買い物依存症」とは、モノを「購入する」という行為に強い快楽を覚え、コントロールが効かなくなる状態のことをいいます。自分の意思をもってしても買うことをやめられず、借金や自己破産に陥ってはじめて自身が買い物依存症であると気づく……という人も少なくありません。
なお、「買い物依存症」は正式な病名ではないものの、精神疾患の症状のうちの1つで、医療機関での治療が必要なケースもあります。
買い物依存症は、さまざまな要因によって引き起こされますが、主に以下のようなものが挙げられます。
1.精神的ストレス
買い物依存症を引き起こす大きな要因のひとつに、不安、孤独といった精神的なストレスが挙げられます。うつなどの精神疾患と併発しているケースも多く、その場合買い物を止めさせるだけでは完治にはいたりません。
「モノを買う」という行為が一時的な快楽や幸福感をもたらすため、これらのネガティブな感情を和らげようと限度を超えて買い物を行ってしまう傾向があります。
2.自己肯定感の低下
自己肯定感の低さが、買い物依存症の要因となっていることも少なくありません。「欲しいものを手に入れた」という状態は自己肯定感を一時的に満たすことができますが、自分自身が満たされているわけではありません。時間が経つと再び買い物を繰り返してしまいます。
3.広告や社会的圧力
現代社会は、テレビやSNS、電車内、街のなかにいたるまで、非常に多くの広告で溢れています。こうした広告はなにかしらの商品を購入させるよう仕向けるものが多く、あたかも物質的な豊かさや消費行為が幸福や成功の指標であるかのように錯覚されることがあります。
こうした広告や社会的な圧力に刺激を受け、「よりいいものを・よりたくさん買わなければ」と気づいたら買い物に依存してしまうケースも少なくありません。
Oさんは現役時代、警察官として地域の人から信頼され、頼られる存在でした。就職してから定年まで「警察官」という職業をまっとうしたOさんは、定年退職したとたん自分自身の役割を失ったように感じ、自己肯定感が下がってしまったようです。
ここに加えて妻の逝去があり、Oさんは喪失感とともに大きな心理的ストレスを感じました。これらが原因となり、買い物依存症となってしまったようです。
また、高齢者の1人暮らしは外からの刺激がなく、認知症を発症するリスクも高まるといわれています。幸いOさんは認知症ではありませんが、仕事人間だった父は趣味もなく、一緒に出かける友人もいません。このままでは、いずれ認知症になってしまう可能性が高いといえます。
また、生前家事の一切を担い家庭を支えていた妻が急にいなくなったことで、部屋は荒れ放題になってしまったようです。
買い物依存症になったことで、貯蓄も大幅減…父親の「救済策」は
父親の様子から、「お金は大丈夫なのか?」と父親の金銭面についても心配になったAさん。父親の通帳を確認してみると予想通り、Kさんが亡くなってからの数ヵ月で貯蓄もどんどん減っていました。
クレジットの利用明細書も複数枚あり、特にネットショッピングの利用が目立ちます。クレジットカードを登録すればクリックひとつで自宅まで届けてもらえるネットショッピング。ITの進歩で便利な世の中になった反面、浪費をしやすくなっているといえます。
Aさんは「このままでは取り返しのつかないことになる」と、筆者のもとへ相談に訪れました。