現代人の多くが悩む、肩こり、そして様々な原因による肩まわりの痛み。なぜ起こるのでしょうか。そして、どんな対処方法があるのでしょうか。本連載は、整形外科医・歌島大輔氏の著書『肩こり・五十肩・腱板断裂 肩の痛みがよくなるすごい方法』(Gakken)より、一部抜粋して紹介します。
Q 肩よりも首の左右がこって痛みます。
肩こりと首こりは違うのでしょうか?
A 肩こりと首こりは基本的に同じものです。対処法も一緒です。
肩こりと首こりは基本的に同じものです。肩こりは首・背中・肩甲骨あたりの筋肉の問題であることがほとんどです。
そのゾーンにある痛みは、すべて肩こりということになりますので、首がこっている場合も肩こりに含まれます。
同じ症状なら対処法も基本的には一緒で、肩甲骨をよく動かすことが大切です。どの筋肉がこっているかは個人によって違いますので、診察する際は丁寧に診ていく必要があります。
ですが、統計的には僧帽筋(そうぼうきん)が弱っている人が多いので、そこに刺激を加えることが基本的な対処法になります。
具体的には、下記の図表1~2の1分肩トレ「肩こりに効くうちわあおぎ」を行うといいでしょう。
◆肩こりに効くうちわあおぎ
うちわをあおいで肩こりの原因となる僧帽筋、とくに僧帽筋下部に刺激を加え、肩甲骨周囲筋のバランスを整えていきます。肩こり対策におすすめの肩トレです。
①肩が痛いほうの手で、うちわの柄ではなく頭の部分をはさむように持ち、横向きに寝て反対側の手で頭を支えます。そして、枕やたたんだバスタオルなどを脇に挟んでうちわをあおぎます。
②ゆっくりと一定のリズムで1分間あおぎ続けます。うちわをあおぐときの強さは、少し風が起こるぐらいが目安です。
Q 自律神経と肩の痛みには関係がありますか?
A 副交感神経が優位だと血流が増し、肩にも良い影響があります。
肩こりは自律神経(じりつしんけい)と関係があるということが、ある程度わかっています。自律神経失調症の患者さんの93%に首の痛みがあり、自律神経失調症以外のパーキンソン病や小脳変性症(しょうのうへんせいしょう)などの神経の病気の患者さんでは40%前後だったという研究論文※が出ています。ほかの病気よりも自律神経失調症の人が圧倒的に多いことから、自律神経と肩こりの関連性は深いことがわかります。
※ K M Bleasdale-Barr, et al. Neck and other muscle pains in autonomic failure: their association with orthostatic hypotension. J. R. Soc. Med. 1998
自律神経は身体のあらゆるバランスを調節してくれています。交感神経が優位になれば血管が収縮し血流が減ります。そして、筋肉も緊張し肩こりにつながります。反対に副交感神経が優位になれば、血管が開いて血流が良くなります。
また、副交感神経優位の場合は身体がリラックスするので、肩にも良い影響があるといえます。1日の中で副交感神経優位になる時間(リラックスタイム)をつくることが重要です。