現代人の多くが悩む、肩こり、そして様々な原因による肩まわりの痛み。なぜ起こるのでしょうか。そして、どんな対処方法があるのでしょうか。本連載は、整形外科医・歌島大輔氏の著書『肩こり・五十肩・腱板断裂 肩の痛みがよくなるすごい方法』(Gakken)より、一部抜粋して紹介します。
Q 肩の痛みが強いときは冷やせばいいのですか?
温めればいいのですか? また湿布は有効ですか?
A 気持ちいいと感じるほうを選びましょう。
アイシングも温熱療法も、じつはどちらも効果があります。私は「患者さんが気持ちいいほう、楽になるほうを選んでください」とお伝えしています。
肩こりや五十肩、腱板断裂(けんばんだんれつ)の場合、腫れてしまうほどの炎症が起こることは珍しいので、冷やさなければいけないケースは少ないです。外傷がなければ血流を良くするために、温めることをおすすめします。
反対に、打撲や捻挫(ねんざ)をしている場合は温めると内出血が助長され、腫れがひどくなってしまうので冷やしてください。
湿布には消炎鎮痛剤(しょうえんちんつうざい)が塗ってあるので、それが皮膚から浸透して痛みが少し楽になったり、炎症が抑えられたりする効果が期待できます。冷湿布はメントールでヒヤッとした感じになり、温湿布はカプサイシンでポカポカした感じになります。
Q すぐに痛みをなんとかしたいとき
飲み薬や塗り薬などおすすめの薬はありますか?
A 消炎鎮痛剤がよく使われます。五十肩や腱板断裂なら飲み薬、肩こりなら湿布や塗り薬でもいいでしょう。
痛み止めには、シンプルに痛み止めの効果のみの鎮痛剤と、炎症を抑える効果もある消炎鎮痛剤があります。
五十肩や腱板断裂は炎症が起こっているので、消炎鎮痛剤がよく使われます。湿布薬や塗り薬は表面から浸透するものなので、五十肩や腱板断裂のように肩の深いところ(肩関節)が問題になっている場合、飲み薬で内側から効かせたほうがいいでしょう。
反対に肩こりは浅い位置の筋肉から痛みが発生している可能性が高いので、湿布や塗り薬でも効果が感じやすいかもしれません。
また、最近では「貼る飲み薬」と呼ばれる薬が出てきています。血液中に浸透する薬で、胃を通らないメリット(つまり胃を荒らしにくい)があります。ただ、血液中に届くという意味では、内服薬と同様に副作用に注意する必要があります。
歌島 大輔
整形外科専門医
日本整形外科学会認定スポーツ医