『ただの人にならない「定年の壁」のこわしかた』(マガジンハウス)著者で公認会計士の田中靖浩氏は、優秀な人ほど“誰からも褒めてもらえなくなる”といいます。いったいなぜなのか? 会社(所属・組織)に依存する50代の危険性とともにみていきましょう。
カーナビの「今日も1日お疲れさまでした」が唯一の癒し…優秀な人ほど“誰からも褒めてもらえない”ワケ
年をとったら“自慢”と“説教”と“塩分”は控えめに
フリーランスとして仕事をしたければ「人の縁」が欠かせません。100億円分を大勢に売るのではなく10万円分を少人数に売る「小さな商売」がゆえに誰に売るかが重要であり、その人との縁のつくり方、育て方がカギを握ります。
とくに最近多いサービス業の場合、売り手がサービスそのものであることが多いので、自分が「この人とまた会いたい」と思われるキャラクターでなければ仕事が続きません。
「感じの悪い人だな」と思われたら最後、相手は黙って自分から離れていきます。そこでは企業取引にありがちな「会社の格」など関係ありません。人間同士のフラットな付き合いのなかで関係が築かれていくのです。
この点、年長者はとくに気を付けましょう。年長者の話には自慢、あるべき論の押し付け、説教が多いです。また成功した年長者ほど、その傾向が強いです。
世間ではこれを老害と呼んでいるようですが、自慢と説教は会社で嫌われるだけでなく、転職や定年後フリーランス化を阻む壁になります。「ベテランは若い人とチームを組むのが苦手」と言われぬよう、自慢と説教を控えめにしましょう。
「いつもの自慢話」と「お決まりの説教」が多くなると、みんなうんざりして離れます。それでも説教を止めないと部下や家族から敬遠され、孤立します。こうして老害の人は孤立し不機嫌になっていくのです。
「年を取ったら自慢と説教と塩分は控えめに」
これが自らの時価を上げるために大切な一歩です。
田中 靖浩
作家/公認会計士