日本酒には味や香りで4タイプに分けられ、それにより相性のよい料理も異なります。さらに、ペアリングを究めるには、日本酒の「温度帯」を意識することが大切、と日本酒の専門家である近藤淳子氏は言います。葉石かおり氏・監修、近藤淳子氏・著『人生を豊かにしたい人のための日本酒』(マイナビ出版)より、日本酒のペアリングについて、詳しく見ていきましょう。
手軽にできる「熱燗」の作り方
ちろり(燗酒用の酒器)を使用してお燗をつけるのは粋ですが、手軽に電子レンジでどなたでもできる方法をご紹介します。
②600Wの電子レンジで40秒加熱後、一度徳利を取り出して箸などで混ぜる。(徳利の上部しか温まっていないので、温度を均一にするため)
③さらに、600Wの電子レンジで40秒加熱し、混ぜる。
温まった徳利は細い首の部分が熱くなっているため、手で持つ際には気を付けてくださいね。
先に、「料理と日本酒の温度帯を合わせる」ペアリングを説明しましたが、ただ温度だけを合わせるのではなく、口の中で料理と酒が入ったときに一体感があるかどうかを重視しましょう。料理だけの個性が際立ったり、酒だけの風味を強く感じたりすると味わいがアンバランスになり、ペアリングが成功しているとは言えません。
では、日本酒の温度帯によってどのようなペアリングの可能性が広がるのでしょうか。例えば、チーズに冷たい旨口の日本酒を合わせるのと、50℃くらいの旨口の熱燗で合わせるのとでは、断然、後者の方が口の中がさっぱりと感じられます。
その理由は、冷たい日本酒の場合は上あごにチーズが少し残ったような違和感があるのに対して、熱燗は口内に残ったチーズの脂質を一緒に洗い流してくれて、舌をすっきりリセットさせる効果があるからです。そうすると、またチーズと熱燗に自然に手が伸びて、飲食が快適に進んでいきます。
また、オリーブオイルを使った料理を食べたあとには、温かい日本酒を飲むことで、口内に残ったオイルをすっきりさせることもできます。さらに、料理になかった酒の甘味を補完することもできるのです。オリーブオイルの凝固点は、0℃~6℃。米油やごま油など他のオイルに比べて、一番凝固点が高く、白く固まりやすい特徴をもっています。
つまり、口の中に冷蔵庫から取り出したばかりの冷たい日本酒を入れると、オイルが固まりやすく、油っこさが立ってしまい、いつの間にか食がスムーズに進まなくなってしまいます。鶏のから揚げ、エビの天ぷらなどの油ものには、燗酒をぜひ合わせてみてください。
日本酒の温度帯を少し意識するだけで、ご自宅でもペアリングを上達させるテクニックが身に付くでしょう。
近藤 淳子
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション
副理事長、フリーアナウンサー
葉石 かおり
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション
理事長 酒ジャーナリスト、エッセイスト