基本のペアリングルールを押さえよう

ペアリングとは、料理と日本酒が口の中で合わさることにより、お互いの味のバランスが整うこと。それぞれ単体にはなかった一体感が生まれるので、味わいの魅力が一層引き立ちます。

ペアリングにおける基本ルールは、

①料理と酒の味の濃淡を合わせる

「濃淡」の「淡」は、「薄い色、薄い味や調味料を使った料理」で、例えば、オリーブオイル、米油、塩、だし醤油、白菜、きゅうり、白身魚、イカ、鶏肉(ささみ、胸肉)、豚肉(もも、ロース)、モッツァレラチーズ、カッテージチーズなどです。これには、「フルーティ、軽快」など軽やかなタイプが好相性です。

一方、「濃い色、濃い味の食材や調味料を使った料理」は、例えば、ゴマ油、ココナッツオイル、マヨネーズ、濃口醤油、かぼちゃ、れんこん、サバ、マグロ(中トロ、大トロ)、牛や豚のばら肉、クリームチーズ、ブルーチーズなどです。

これには、「旨口、熟成」などのしっかりとした味わいのお酒がよく合います。①を大前提として、以下の②③④⑤の細かいルールを合わせていくと、より様々なペアリングを実践できるようになります。

②香りの要素を合わせる

日本酒にリンゴのような香りがあれば、リンゴの要素を料理に組み入れるなど、日本酒と食材の香りを調和させるという手法です。

③製法を合わせる

発酵食品である日本酒に、みそ、醤油、チーズなどの発酵食品を合わせると、抜群の相性となります。また、オイスターソースやバルサミコ酢など、熟成した調味料は熟成酒とよく合います。

④テクスチャー(食感)を合わせる

にごり酒のようなとろみのある日本酒に合わせるには、片栗粉で粘性を出したり、くず粉でとろみを加えたりしても良いでしょう。生クリームやホワイトソースなども合う場合があります。

⑤温度帯を合わせる

日本酒のおいしさが引き立つ温度帯を探し、料理と合わせること。温かい日本酒には温かい料理。氷皿に盛りつけた冷たい刺身には、熱燗ではなく、よく冷えた日本酒がよく合います。揚げ物など油を多用したもの、脂質の多い肉類や魚には、日本酒を温めて合わせると良いでしょう。お燗は油や脂質を口の中でサッと洗い流してくれるので、舌がさっぱりとリセットされます。

日々、なんとなく日本酒を飲むだけではなく、様々な日本酒と食を意識して合わせて、ペアリングを楽しんでみませんか?

近藤 淳子
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション
副理事長、フリーアナウンサー

葉石 かおり
一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション
理事長 酒ジャーナリスト、エッセイスト