「東京23区」における持ち家率は65%を超えています。不動産価格の水準が非常に高いにも関わらず、多くの人が持ち家を手にできているのはなぜなのでしょうか。そこで本稿では麗澤大学工学部で教授を務める宗健氏の著書『持ち家が正解!』(日経BP)から一部抜粋して、「首都圏」と「地域」間で不動産価格の格差が拡がる原因について解説します。
なぜ地方出身の高学歴女性は地元に帰らないのか? 高騰し続ける〈首都圏の不動産価格〉のウラにある「高所得・高学歴」カップルの再生産【専門家が解説】
首都圏では高学歴・高収入世帯の再生産が繰り返される
実態はより明確で、結婚した世帯の所得が東京都内で暮らすには十分でない場合は周辺県へ流出し、夫婦両方が大卒の正社員で、東京都内で暮らすために十分な所得がある場合には、東京都内にとどまることが多くなる。
こうして、東京で生まれ育った勉強のできる若者に加えて、地方の勉強ができる若者が東京に集まり、その一部が所得の高い高学歴カップルとなって再生産される。
2018年の住宅・土地統計調査(住調)によれば、東京23区の子どもあり世帯の持ち家率は65.4%で、全国平均の76.2%よりは低いが、不動産価格の水準を考えれば相当高いといえるだろう。
実は首都圏の不動産価格の高騰と、家賃と不動産価格の地域差は、こうした居住者属性である程度説明ができる。こうした傾向が今後も続くのであれば、首都圏の不動産価格は平均としては上昇を続け、一方で首都圏内でも価格差が広がっていくのかもしれない。
そして残念ながら、こうした状況は再生産され、都市と地方の格差も広がっていくだろう。
宗 健
麗澤大学工学部教授/AI・ビジネス研究センター長