専業主婦を続けて「年金月6万円」のみ…離婚後の生活資金はどう作る?

主:ただ、不安なのは老後の暮らしよ。私の教師としてのキャリアはたった3年で、その後59歳までずっと専業主婦だった。私がもらえる年金は、たった月6万円…。この金額じゃ、とても暮らしていけないわ。

お:政府調査では、65歳以上の年金受給額は平均17万円、夫婦で23万円程度と言われています。

ワ:それじゃジュンコさん、離婚したら世帯年金が17万円も減っちゃうの?

ゆ:そうですね。そこで知っておきたいのが年金分割制度です。

お:年金分割制度というのは、婚姻期間中の厚生年金記録を離婚時に夫婦で分け合うものです。実際に年金分割をしている人は婚姻件数に対して15%程度いらっしゃいます。

主:年金分割をすると私の年金も増えるのかしら?

ゆ:政府調査では、離婚した場合に増える年金の平均は約3万円です。ジュンコさんは年金月6万円なので、月9~10万円に増える可能性があります。

ワ:それでも月に10万円で暮らすのは厳しいね…。

ゆ:年金だけでは厳しいですね。でも多くの場合、離婚の際に財産分与があります。

主:うちには2,000万円ほど貯金があるから、分割したら1,000万円になるわ。でもこれを頼みの綱として切り崩し続けたら、自分が亡くなる前にいつか底が尽いてしまうんじゃないかしら。

ワ:貯金は、大きい出費があるときのために、生活費としてなるべく切り崩したくないよね。

ゆ:ジュンコさんは、退職金も財産分与の対象になるのはご存じでしょうか?

主:え!? 退職金も財産分与に含まれているの?

ゆ:夫婦のどちらかが結婚後も働いてきたという場合は、「パートナーがいることで長年働くことができた」とみなされます。そのため、貯金と同様に退職金も財産分与の対象に含まれるんです。

主:やったわ! 

私は夫が定年退職を迎える日に離婚を切り出すことに決めた。

「あなた、長い間お疲れさまでした。実は大切な話があるの。私もあなたの妻を定年退職したいの。私の夫としても、お疲れさまでした。」

私たちはお互いに代理人を立てて、一度も顔を合わせることなく離婚した。夫から代理人を通じて「嫌いになって別れるわけじゃないから、連絡先を知りたい」と言われたけど、私は嫌いで別れるからお断りしたわ。

その後私は高齢の母の様子をいつでも見に行けるように、実家近くのワンルームマンションで1人暮らしを始めた。この辺りは、子どもの頃は畑や田んぼが広がる郊外だったのに、もうそんな牧歌的な風景はなくなっていてお洒落なカフェなんかができていて、すっかり様変わりしていたわ。

私は最近、市の図書館に通っているの。

ワ:図書館?

主:実は最近、近所の塾で講師のバイトを始めたの。そのための勉強よ。私が子どもの頃は塾に通う子は少なかったけど、最近は通っている子どもがとても多いわ。

今は補習クラスを担当しているのだけど、有難いことに、来年から受験クラスも担当してくれないかって声をかけてもらったの。中学受験に向けて勉強する子たちのために、最近の入試の傾向や、対策を勉強しているのよ。

ワ:お仕事始めたんだね!

主:この仕事を始めて毎日が本当に充実しているわ! 子どもたちのなかには昭和の時代に興味がある子がいたり、歌謡曲に詳しい子がいたり、色んな子がいて楽しいの。そうそう、生徒の1人にね、伝説の80年代アイドル、マツリダ セイコちゃんのファンだって言う面白い子がいてね、いつも授業の後に当時のセイコちゃんについて熱心に聞かれるの。本当に可愛いわよね。

ゆ:今はTikTokなどをきっかけに若い世代の間で、昭和歌謡ブームとも言われていますね。(2023年現在) 

主:この歳になってまた子どもに勉強を教える仕事ができるなんて、数年前は夢にも思わなかったわ。いい先生になれるように頑張らなくっちゃ!

ゆ:これからは自分で選んだ人生を存分に楽しんでほしいですね

ワ:我々は、ジュンコさんの新しい人生を応援しています!