2種類ある「遺族年金」の相違点

ゆ:遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。

遺族基礎年金は子のある配偶者か、子しかもらえないため非常に限定的といえます。受給者は40歳代が過半数を占めています。

一方、遺族厚生年金の受給者は65歳以上が約9割を占めています。こちらは会社員の遺族ならば、子のない配偶者でももらうことができます。

サチコさんがもらえない可能性について検証してみましょう

ゆ:遺族厚生年金の受給要件はこちらの5つです。

1.厚生年金保険の被保険者でが死亡したとき

2.厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき

3.1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき

4.老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき

5.老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金を受けるために必要な加入期間の条件を満たしている人が死亡したとき

ゆ:サチコさんの場合は「老齢厚生年金の受給権者であった夫が死去」に当てはまるため、上記の4、5に該当します。ですが上記1~5の要件は、次の条件を満たしていなければ、適用が認められません。

◆1および2の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています

◆4および5の要件については、保険料納付期間、保険料免除期間および対象期間を合算した期間が25年以上の場合に限ります

ゆ:サチコさんはこの4、5の適用に必要な条件を満たしていない可能性があるということでしょうか。

主:そうなのよ。夫は24年半で会社員をやめてフリーランスになってるでしょ?

つまり、「厚生年金の保険料納付済期間が25年以上」という条件を満たせていないの。

ワ:なんと!

主:知った時は私もショックだったわ。

夫はフリーランスになってから特に、人との繋がりを大切にしていたわ。建築現場の人たちに差し入れを持って行って直接進捗を聞いたり、議論を交わしたり、飲みに誘ったりして1人1人と信頼関係を築くことに努めていたの。

そういう風に丁寧な仕事をしているから、家に帰ってくるのは毎晩のように遅かったり、家族の時間がもてなかったり……色々と不満に思うこともあった。でも、夫のそうした心がけが次の受注や信用に繋がっていくと分かっていたから、私は文句一つ言わず、まぁ……たまに愚痴をこぼすことはあったけど、あまり文句を言わず「家の中のことは基本、私の担当!」と言い聞かせて家事や子育てを頑張ってきた。

そういう私たちの努力の1つ1つを、国には認めて貰えないような気がしてしまって……、なんとも悲しい気持ちになってしまったわ。

でも、悲しんでばかりじゃ1歩も進めない。気持ちを切り替えて、これからの生活をどうするか考えなくっちゃ……!!

ゆ:企業や組織に属さない、フリーランスの業務形態は昨今の「働き方の多様性」の浸透により増加しています。

しかし、会社員に適用される社会保険各種は、フリーランス(個人事業主)には適用されません。厚生年金の加入歴がない、もしくは加入歴が短い場合、遺族は遺族厚生年金をもらえない可能性があります。それらをカバーする対策を事前に練る必要があります。

……ですが、厚生年金の加入期間が25年未満でも遺族年金が受け取れるかもしれないケースというのがあるんです!

主:なんですって!?

ワ:どういうこと? ゆめこさん詳しく教えて!