不安に襲われることは誰にでもありますが、「運のいい人」が実践している、不安の取扱い方は? そこで本稿では、医学博士の中野信子氏による著書『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』(サンマーク出版)から一部抜粋して、いま、最注目の脳科学者がつきとめた運のいい人だけがやっている「思考」と「行動」を解説します。
・不安のとらえ方を変えてみる
たいていの人は「できれば不安はなくしたい」と考えるかもしれませんが、不安は人が生きていくうえで必要な機能、ともいえます。
不安があるからこそ、人は備え、工夫し、努力できる一面があります。
病気になったらどうしよう、そうならないために生活習慣を見直す、会社のリストラ候補になったらどうしよう、そうならないために精いっぱい努力する、将来夫が浮気をするかもしれない、そのときのためにへそくりをためよう、などというように。
セロトニンの分泌量が抑えられているのは、人をあまりに能天気にさせないための脳の働きかもしれません。
こう考えると、不安もまったくの悪者ではありません。
・不安を箱にしまってしまう
といっても不安の中には、漠然とした不安というものもあります。
こんなときには、不安を感じている自分を客観視するという方法も有効です。
不安を感じたら、「ああ、私はいま、不安を感じているな」と自覚してみるのです。
そして不安をひとつのモノとして、自分から切り離して考えてみます。
いま、私は「不安」というモノを抱えているな、いろいろ考えるべきことはあるかもしれないけれど、とりあえずいまはこの「不安」というモノを箱の中にしまって、今日は寝てしまおう、不安になるのは後回しにしよう、などと考える。
しっかり眠って翌朝その箱を開けると、不安がなくなっている場合も少なくありません。
中野信子
東日本国際大学
特任教授/医学博士