・不安のとらえ方を変えてみる

たいていの人は「できれば不安はなくしたい」と考えるかもしれませんが、不安は人が生きていくうえで必要な機能、ともいえます。

不安があるからこそ、人は備え、工夫し、努力できる一面があります。

病気になったらどうしよう、そうならないために生活習慣を見直す、会社のリストラ候補になったらどうしよう、そうならないために精いっぱい努力する、将来夫が浮気をするかもしれない、そのときのためにへそくりをためよう、などというように。

セロトニンの分泌量が抑えられているのは、人をあまりに能天気にさせないための脳の働きかもしれません。
こう考えると、不安もまったくの悪者ではありません。

・不安を箱にしまってしまう

といっても不安の中には、漠然とした不安というものもあります。

こんなときには、不安を感じている自分を客観視するという方法も有効です。

不安を感じたら、「ああ、私はいま、不安を感じているな」と自覚してみるのです。
そして不安をひとつのモノとして、自分から切り離して考えてみます。

いま、私は「不安」というモノを抱えているな、いろいろ考えるべきことはあるかもしれないけれど、とりあえずいまはこの「不安」というモノを箱の中にしまって、今日は寝てしまおう、不安になるのは後回しにしよう、などと考える。

しっかり眠って翌朝その箱を開けると、不安がなくなっている場合も少なくありません。

中野信子

東日本国際大学

特任教授/医学博士