日本がバブルに沸いた時期に就職した「バブル入社組」は、もう50代半ばに。定年を意識し始める時期ではあるものの、まだまだ仕事の先は長く残っています。また、もう変化がないかといえばそんなことはなく、ここから人生を大きく変えることも不可能ではありません。本記事では、元永 知宏氏の著書『まだまだ仕事を引退できない人のための50代からのキャリア戦略』から、50代がキャリア戦略を考える際のポイントをご紹介します。
50代会社員、これからどう生きていきますか?キャリア戦略を考えるための「3つのポイント」 (※写真はイメージです/PIXTA)

バブル期に会社に入った「バブル入社組」はもう50代半ば。荒波に揉まれた日本経済と同様、どの業界も、どの会社も厳しい状況の中で悪戦苦闘しながら、なんとか生き延びてきました。入社した当時に思い描いたものとは違う形になったかもしれませんが、それぞれが必死に働いてきたことに間違いありません。

 

問題なのは、バブル入社組がまだ安息の日々を送ることができないということです。家族のために、自分のために、会社のために、社会のために、そして生活を維持するために働き続ける必要があります。

 

会社員の中には、大きな決断をして生き方を変えた人たちもいます。その話を伺うと、50代のキャリア戦略を考える際に有効な「3つのポイント」が見えてきました。

 

①学び直す

②働く場所を変える

③マインドを変える

 

いずれも簡単なことではありません。しかし、どれか(あるいは、いくつか)を選ばなければ、人生を大きく変えることはできません。ここで、3つのポイントについて掘り下げてみましょう。

 

50代からのキャリア戦略① 学び直す

どんな人にも得意だった教科や科目、もっと学びたかったことはあるはずです。「学び直し」と聞いて、取得したい資格や身につけたい技術を思い浮かべた人もいるでしょう。

 

学ぶ直すにあたって、遅すぎるということはありません。世の中には、すでにそれを取得(習得)としている人は必ずいます。これから目指す人(競争相手であり仲間)も相当な数、存在することでしょう。

 

まず、自分の興味がある世界のことを調べ、そこでやりたいことを決め、先行者に会ってアドバイスをもらい、それを参考にすれば、少しずつでも前に進めるはずです。

 

まずは、簡単なことから始めてみましょう。

 

・学生時代に使っていた教科書や参考書、辞書を眺める

・得意だった科目の教科書を読んで、参考書を解く

・興味がある資格試験の参考書を読む(立ち読みでも可)

・興味がある資格を持っている人に会って、話をする

・興味があるジャンルのスペシャリストに会って、話をする

・社会人大学院で学んだ人、通い始めた人に会う

 

苦労した先行者ほど、いろいろなことを教えてくれるものです。もう一度言います。学び直すのに、遅すぎるということはありません。

 

50代からのキャリア戦略② 働く場所(働き方)を変える

どんなジャンルでも、会社がひとつしか存在しないということはありません。あなたが今持っている知識や経験、技術を欲しがる会社はきっとあるはずです。同じ業種でなくても、あなたが持つ財産は、「横転換」することによって、自分が思ってもみなかった場所で効力を発揮する可能性があります。

 

自分のことは、意外と、自分が一番わからないもの。今いる場所ではないところで、あなたはもっと力を発揮できるかもしれない。「場」や「役割」を変えることで、生まれる力もあるかもしれません。

 

そのために、これらのことを試してみましょう。

 

・自分のキャリア(誇れる実績)を棚卸しする

・自分の強みを書き出し、ほかのジャンルでも応用できるか考える

・転職サイトに登録して、マーケットを観察する

・転職して楽しそうに働く人に会う

・異業種交流会など、さまざまなジャンルの人が集まる場所に行く

・人事担当者、経営者など自分と違う立場の人の話を聞く

 

今すぐ動く必要はありません。いつでも動ける「フリーエージェント」の状態に身を置くことで、素早く、次のステップに移れるでしょう。あなたが働く姿を、きっとどこかで誰かが見ています。目の前にいる取引先が転職のキューピッドになることがあるかもしれません。

 

50代からのキャリア戦略③ マインドを変える

会社のために、家族のためにと30年も働き続けるうちに初心を忘れていませんか。

 

「できるか・できないか」で判断するのではなく、「やりたいか・やりたくないか」で考えると、違った世界が見えてくるはずです。

 

初心を思い出すために、残りの時間を有効に使うために、こんなことをしてみてはいかがでしょうか。

 

・子どもの頃に憧れた職業とその理由を思い出す!

・10代、20代の頃に感動した映画をもう一度見る!

・10代、20代の頃に心を動かされた本をもう一度読む!

・大好きだった趣味を再開する(楽器でも、スポーツでも、美術関係でも可)!

・「まだ何者でもなかった」時代を知る仲間に会う!

・「行きたいと思いながら行けなかった」ところに足を運ぶ!

・「ずっとやりたかったけど、やらなかった」ことをやる!

 

人は成長するにつれて、「できるか・できないか」で判断することが増えます。そのうちに実現可能性の低いものには、チャレンジすることさえしなくなります。そのうちに、「できたかもしれないこと」が「できないこと」に分類されてしまうのです。だから、もう一度、「できたかもしれないこと」にチャレンジしてみましょう。

 

人生100年としたら、50歳でやっと半分。実現可能性などを考えることなく、チャレンジしていたあの頃を思い出してみませんか。

 

マインドが変われば、あなたの周囲も一変する――舞台が変化すれば、これまでと違う一日がきっと始まることでしょう。

 

 

元永 知宏

 

※本記事は『まだまだ仕事を引退できない人のための50代からのキャリア戦略 “バブル入社組”のリアルな声から導き出した3つの答え』(翔泳社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。