IREとはFinancial Independence Retire Earlyの略で、日本語では「経済的自立と早期の退職」を意味する言葉です。近年、働き方にとらわれない人生の選択肢のひとつとして注目されるようになりました。本記事では、「働くことから解放されて、自分らしい人生を過ごしたい」という人に向けて、独身のAさんと、2人世帯のBさん夫婦の事例とともに、FIREを目指す方法についてFPの伊藤貴徳氏が解説します。
都内在住の45歳・サラリーマン「決めた、あと10年で仕事辞める」…55歳で“FIRE”→100歳まで働かずに暮らせる貯蓄額【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

世帯年収900万円、45歳・Bさん夫婦のケース

(※画像はイメージです/PIXTA)
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Bさん夫婦は、45歳の同い年夫婦です。2人のあいだに子どもはおらず、今後も望んでいません。在宅ワークが増えたこともあり、近い将来、仕事を気にせず悠々自適な生活を過ごしたいと考えています。2人でこれまで準備した貯蓄額はおよそ4,000万円。あと10年後にFIREを考えているとのことですが、果たして達成できるのでしょうか。

 

【Bさん夫婦の収支】
<収入>
夫の年収:約500万円(月収:約42万円、賞与ナシ)
妻の年収:約400万円(月収:約33万円、賞与ナシ)
世帯年収:900万円(世帯月収:約75万円)
※55歳まで共働き

<支出>
生活費:月20万円
家賃 :月10万円
固定費:月3万円
娯楽費:月4万円
⇒合計:月37万円

<貯蓄>
4,000万円

 

年間生活費を444万円とすると、4%ルールに当てはめた場合、1億1,100万円が必要となります。

 

1億1,100万円-4,000万円=7,100万円

 

Bさん夫婦がFIREを達成するための必要準備額は7,100万円と算出されました。ここで、Aさんのケースと同様にBさん夫婦の収支に65歳以降の年金収入を踏まえ、4%ルールを当てはめてみます。

 

4%ルールをBさん夫婦の収支に当てはめると

【Bさん夫婦の年齢別収支】

・55歳〜65歳の収支
収入:0円(退職時にハローワークから受け取れる基本手当は割愛します)
支出:444万円(年間生活費)
差額▲444万円
準備すべき資金:444万円×10年=4,440万円
・65歳〜100歳の収支
収入:年間約310万円(2人の見込年金額)
支出:444万円差額:▲134万円
準備すべき資金:134万円×25=3,350万円
⇒準備すべき資金の合計額:7,790万円

Bさん夫婦がFIREするためのポイント

~before~
444万円の生活費を4%ルールで準備するためには1億1,100万円の準備が必要!

~after~
65歳までは貯蓄を取り崩しつつ4,440万円準備。65歳以降は(生活費-年金)の差額134万円に4%ルールを取り入れるために3,350万円準備。

4,440万円+3,350万円=合計7,790万円が必要!
→約3,310万円の減額に成功

 

55歳から65歳までは貯蓄を取り崩し、65歳から4%ルールを取り入れる工夫をすると、準備額に3,310万円の差が出ることになりました。

 

Bさん夫婦の現在の貯蓄額は約4,000万円で、毎年250万円の貯蓄を続けています。目標額の7,790万円に少々届きませんが、その分生活水準を調整したり、足りない分だけ働いたりといった「サイドFIRE」であれば、目標に近づけることは可能かもしれません。