アメリカでは、SNSへの規制に関する議論が議会で再燃しています。その背景に、何があるのでしょうか。みていきましょう。

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幾度となく議論されてきたソーシャルメディア規制

2024年1月31日、米国議会上院で行われた司法委員会で、ソーシャルメディアの責任を巡る議論が行われました。

 

委員会では主に青少年保護の観点からSNSの問題点が議論され、ビックテック企業が槍玉に上がりました。メタ社の最高経営責任者(CEO)マーク・ザッカーバーグ氏が児童の性的搾取に関して証言したのをはじめ、テック業界の大物が召喚されたことで注目を集めました。

 

ただし、SNS規制の議論が行われるのはこれが初めてではなく、以前から様々な観点から規制の議論はなされていました。そのため、問題点を早くから認識しながら適切な規制を行えていない議会の責任も問われています。規制を阻む要因は、言論の自由の原則やテクノロジーの責任主体は誰なのかと言った根本的な議論を含めさまざまありますが、現実的には2つの問題が大きいと考えられています。

ロビー活動と民主・共和の対立が、規制を阻む

1つは、今や米国経済をリードする存在であるテック企業によるロビー活動です。彼らが業界に利する政策を実現するために、与野党議員に対し熱烈なロビー活動を行っています。その費用は年間で数百万ドルとも数千万ドルとも言われ、議員のなかにはこの資金なしには選挙を戦えないという人物も少なくないと見られます。テック企業が資金の見返りとして要求するのは、可能な限り規制を緩めることです。

 

規制が進まないもう1つの要因は、民主党と共和党の対立です。SNS規制に限った問題ではありませんが、上下院のねじれ国会構造により、あらゆる法案が成立しにくい状況を招いています。純粋に、両党で考え方が一致しないというケースはもちろん、相手の足を引っ張りたいという理由から法案が棄却されるケースもあり、立法プロセスが滞っています。当年度予算や債務上限引き上げなどのより致命的な議題を論じるのが精一杯で、規制まで手が回らないのが現状なのです。

 

日本でも、痛ましい事件などをきっかけに巻き起こるSNS規制に関する議論。プラットフォーマー企業を多数抱える米国では、関係者の思惑が複雑に絡み合うことで、より厄介なテーマになっているようです。

 

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本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。
本記事は、掲載日時点の情報を基に作成しています。最新状況につきましては、スタッフまでお問い合わせください。