年間約10万件の相続税の申告件数のうち、税務調査が入る件数は「5件に1件」。意外と身近なものであり、それゆえ、相続税の申告の際には「税務調査を受けることを意識しながら準備を進めていく必要がある」と、税理士の北井雄大氏は言います。北井氏の著書『相続はディナーのように “相続ソムリエ”がゼロからやさしく教えてくれる優雅な生前対策の始め方』(日刊現代)より、詳しく見ていきましょう。
〈5件に1件〉が税務調査の対象に…!「何にお金を使っていましたか?」の回答から“すべてを暴く”調査官の〈すごいテクニック〉【税理士が解説】
【登場人物】
相続ソムリエ:悩める家族に相続のアドバイスを贈る、相続のプロフェッショナル
潤一郎(80歳):春樹の父親
小百合(76歳):潤一郎の妻
春樹(52歳):潤一郎・小百合の長男。妹が1人いる
綾子(50歳):春樹の妻
桜(23歳):春樹・綾子の娘。潤一郎・小百合の孫
税務調査は5件に1件の割合で行われている
春樹:一般家庭に税務調査が入ることってあるんですか?
相続ソムリエ:もちろん。相続税の申告の際には、税務調査を受けることを意識しながら準備を進めていく必要があります。
まずは相続税の課税対象となる案件数から見ていきましょう。2015年の相続税法の改正によって基礎控除額が6割に縮小されたため、相続税の課税対象となるケースが増えました。改正前は、相続が発生した件数に対して申告が必要なケースは4.5%程度でしたが、改正後は8.5%程度に上昇しました。
綾子:対象者が、だいたい2倍になってるのね。
相続ソムリエ:はい。そして、対象者増加に合わせて税務調査の件数も増えているんですよ。
潤一郎:増えているって、いったいどのくらい増えているんだ?
相続ソムリエ:改正前、相続税の税務調査件数は年間1万1,000件程度でしたが、改正後は2万2,000件程度に増えました。
桜:これまた2倍!
相続ソムリエ:相続税の申告件数は年間約10万件ですから、5件に1件、約20%が税務調査の対象になっているんです。
春樹:思ったより多いぞ。
小百合:税務調査って、意外と身近なことなのねぇ。