【登場人物】

相続ソムリエ:悩める家族に相続のアドバイスを贈る、相続のプロフェッショナル
 

潤一郎(80歳):春樹の父親

小百合(76歳):潤一郎の妻

春樹(52歳):潤一郎・小百合の長男。妹が1人いる

綾子(50歳):春樹の妻

桜(23歳):春樹・綾子の娘。潤一郎・小百合の孫

価値の上がる資産は「相続時精算課税制度」による贈与が有利

相続ソムリエ:贈与税の課税方法には、暦年課税と相続時精算課税の2つがあります。

暦年課税は1年ごとに贈与税を計算していく方法で、年間110万円までの贈与は非課税です。相続時精算課税は、生涯で2,500万円までの贈与は、贈与税を支払う必要がなく、2,500万円を超えた分には20%の贈与税が課税されるというものです

ただし、相続が発生した際には、相続時精算課税適用財産についてはすべて相続財産に加算して、相続税を計算します。なお、令和5年度の税制改正で、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が創設されました。

桜:相続が発生した際には、相続時精算課税適用財産についてはすべて相続財産に加算して、相続税を計算する……? どういうこと? 結局最終的には、税金を支払うということですよね? あまり意味がないように思っちゃうけど。

相続ソムリエ:桜さん、鋭い指摘です。相続人が4人いるケースで考えてみましょうか。相続人が4人いる場合、基礎控除は「3,000万円+(600万円×4人)」で5,400万円なので、相続財産がこの範囲内であれば相続税はかかりません。財産が相続税のかからない範囲であると見込まれるケースでは、相続時精算課税制度を利用して生前に贈与すると、贈与税も相続税もかからず、財産の早期移転が可能になるのです

桜:なるほど! 財産が相続税のかからない範囲である人に適した制度なんですね。

相続ソムリエ:その通り。そのほか、財産の価値が今後上昇すると見込まれる場合も相続時精算課税制度は有効です

たとえば、被相続人が会社経営者の場合を考えてみましょう。コロナ禍のときには、業績が落ち込んでいたケースも多いと思います。業績が悪ければ株式の評価額も下がります。そのタイミングで子どもに株式を贈与すると、低い評価額で移転することが可能なんです。