フリーランス、中小企業経営者のみが使える「節税スキーム」

副業でも事業が拡大して、雑所得ではなく、事業所得が発生する規模になると、さまざまな節税スキームの活用が可能になります。フリーランスや小規模企業を支援するために、国がさまざまな税制上の特典を用意しています。

ただ売上や利益を拡大することだけに邁進するのではなく、実質的にキャッシュが手元に残るように、節税スキームをできる限り活用していくのが、事業を長く続けていく秘訣です。

フリーランスになると、売上が大きく伸びる月もあれば、ガクンと落ちたり、売上が上げられなかったりする月もあって、安定しないのが普通だからです。

しっかり稼いだ時期に得られたキャッシュフローを使って、売上がない月の落ち込みをカバーできるよう、なるべく税金で現金が外へ出ていかないように管理することは、売上を上げることと同じくらい大切なことなのです。

フリーランス(個人事業主)や小規模企業を支援する節税スキームの中で、私がぜひ勧めたいのは、「小規模企業共済」です。

これは、フリーランスや中小企業経営者のための退職金を、節税しながら準備できる仕組みで、節税効果もあって現金を残すのに最適です。

雇われる働き方の会社員で、正社員には通常、退職金制度があり、とくに長い年月を1社で勤め上げた会社員は、老後資金として活用できるまとまった金額の退職金を得ることができます。

ところがフリーランスや中小企業経営者の場合は、自分で自分の退職金を用意する必要があり、そのための支援として「小規模企業共済」というスキームができました。

小規模企業共済は「元本割れ」に注意

具体的には、月額7万円を限度として、毎月退職金の原資を積み立てていくもので、積立金額の全額が所得控除となります(その分、所得が減少して、所得税の節税になります)。

年間では、84万円分の節税枠ができると考えていいでしょう。ただし、「つみたてNISA」と違うのは、自分で運用商品を選ぶということはできず、中小企業基盤整備機構に積立金を預けて運用してもらう形になります。

取り崩すのは原則として、事業をやめる時になり、積み立てた全額プラス運用益が退職金という扱いで、退職所得の優遇税制が受けられるのです。

退職金が受け取れて優遇税制の対象にもなり、かつ、積み立てている時から所得控除も受けられて二重の意味で節税になるので、これを利用しない手はありません。

私もフリーランスになって何とか事業が軌道に乗り始めた時から積み立てを始めました。やってみると、とてもメリットの大きい仕組みであると実感できます。

注意点としては、原則として事業をやめるタイミングでしか換金できないこと。退職金という位置づけなので仕方ないのですが、その時の運用期間が20年未満だった場合には元本割れとなる可能性があります。毎月払い(積み立て)のほかに年払い(1年前払い)の仕組みもあるので便利に使えます。