「60歳で完全引退」が難しい日本。役職定年などにより「現役時代ほど収入が期待できない」という人は、副業などで“新たな収入源”をつくることと、“出ていくお金”を減らすことが重要です。そこで、『50代 お金の不安がなくなる副業術』(エムディエヌコーポレーション)著者の大杉潤氏が、副業(フリーランス)や中小企業経営者が活用可能な節税スキームについて、自身の経験を交えて解説します。
60歳からは“出ていくお金”を減らしたい…定年→フリーランスで活用可能な節税術「小規模企業共済」とは【メガバンク出身のコンサルタントが伝授】
筆者が計画中の節税スキーム術
私の場合は、「定年ひとり起業」という形で年齢が高くなってからスタートしたのですが、妻が社長の合同会社とフリーランス(個人事業主)の大杉潤という法人・個人の両方で、経営セーフティ共済を活用しています。
計画としては、年齢的に事業を徐々に絞り込んで整理縮小のフェーズになって売上が減ったタイミングで解約し、売上を補填する使い方がいいかなと思っています。
さらに、そこから数年で事業をやめる時には、小規模企業共済を解約して退職金を受け取るという形です。
これを法人と個人で、時期をずらしながら順番に行っていけば、たとえ仕事がほとんどなくなったとしても、数年間は今とあまり変わらない事業規模が維持できて、ライフスタイルも変える必要がなくなります。
そうこうしているうちに受給を繰り下げた年金を請求してもらえるようにすれば、そこで収入がまた増えます。
最高75歳まで受給を繰り下げられるので、そこまでいけば通常65歳からもらう年金の1.84倍の金額がもらえます。
そう考えると、節税スキームを活用できる副業(事業所得の規模)やフリーランス、小規模ファミリーカンパニーの設立による起業は、会社員にはないメリットがかなりあります。同じ金額を稼ぐとすると、手元に残るお金は大きく増えるでしょう。
さらに応用編ですが、今後私が検討しているのは、ファミリーカンパニーの「旅費規程」です。
これからハワイをはじめ海外でのセミナー事業、現地情報を発信する事業などを立ち上げようと考えているので、現地までの往復旅費が経費になるわけですが、実際に出張する人に日当を出すことが、旅費規程があれば可能になります。
この日当は給与所得や役員報酬には入らないので、所得税の対象にならず、税金や社会保険料をかけずに現金を法人から個人へ移すことができます。法人の方では日当の支払は当然、経費計上ができます。
たとえば、ハワイに30日間出張して、日当を1万円と規程で取り決めれば、月額30万円を所得税や社会保険料のコストをかけずに、法人から個人へ現金を移すことが可能です。
これから顧問税理士に相談して検討しようと思っていますので、まだ決めたわけではないのですが、メリットがあるのではないかと思って研究しています。
税制は頻繁に変更される上、タックス・コントロールは専門性が高いので、ここまで書いてきた節税スキームの活用は、ぜひ専門家である税理士と相談の上、進めてください。
大杉 潤
経営コンサルタント/ビジネス書作家/研修講師