「60歳で完全引退」が難しい日本。役職定年などにより「現役時代ほど収入が期待できない」という人は、副業などで“新たな収入源”をつくることと、“出ていくお金”を減らすことが重要です。そこで、『50代 お金の不安がなくなる副業術』(エムディエヌコーポレーション)著者の大杉潤氏が、副業(フリーランス)や中小企業経営者が活用可能な節税スキームについて、自身の経験を交えて解説します。
60歳からは“出ていくお金”を減らしたい…定年→フリーランスで活用可能な節税術「小規模企業共済」とは【メガバンク出身のコンサルタントが伝授】
積み立て期間”40ヵ月”で現金化できる節税スキームとは
それから、事業をやめるタイミングでなくても現金化できる節税スキームもあります。私も起業してすぐにはこの仕組みを知らなかったので、最近活用を始めました。
通称「経営セーフティ共済」(正式名「中小企業倒産防止共済」)といって、同じく中小企業基盤整備機構が運営しています。
この商品は、フリーランスや中小企業の販売先(取引先)が倒産して代金回収ができなくなった時の保険として、掛け金を積み立てるという仕組みで、保険の掛け金の全額が経費として計上できます。こちらは、所得控除ではなく保険料なので経費として計上します。金額は月額20万円を限度として5,000円から可能です。
小規模企業共済と同じように年払いも可能です。
実際に、取引先が倒産して代金回収ができなくなった場合には、掛け金の10倍までの借入ができます。年間240万円の掛け金が最高額ですが、掛け金累計額の限度が800万円となっています。もし、限度額いっぱいまで掛け金が溜まっていれば、その10倍の8,000万円までの借入が可能になります。
実際の活用法としては、掛け金を積み立てた期間が40か月を超えると、共済を解約して解約金を受け取る時に、元本割れをしなくなります。
そういう意味では、経費計上して節税をしながら行う貯蓄のような感覚で利用する中小事業者が多いのです。
解約手当金を受け取った時には売上に計上することになるので、その年は所得税や法人税が増えることになりますが、売上が増えて儲かった時に掛け金を積み立てて節税しながら、売上が下がった時に解約すれば、売上高の波を平準化する効果があり、メリットが大きいのです。