はじめは安価な手挽きミルがおすすめ

次は、ミル(グラインダー)の選び方についてです。

ミルには手挽きタイプ電動タイプがあります。より値段が安いのは手挽きのほうで、2,000円台程度から選べます。安価でもそれなりに挽くことができるので、「いつもはコーヒーを粉で買っているけれど、一度、挽きたての味を実感してみたい」という人は、まずは安い手挽きミルを買うのをおすすめします。

もちろん、手挽きミルは安いものばかりではなく、高価なモデルも存在します。値段の違いは、豆を挽いたときの粒度(粒の大きさ)の均一性です。どんなミルでも、豆を挽いたときの粒の大きさにはばらつきが生じます。このばらつきが多すぎると、自分が望む味や香りを実現するのは難しくなるため、できるだけ均一であることが求められます。高価なミルは、刃の作りや機構の精密さによって粒度のばらつきを少なくすることができます。

それに加えて高価なミルには、微粉の出る量が少ないというメリットがあります。微粉というのは、豆を挽くときに発生する非常に細かい粉のことを指しますが、この微粉は少ないほうがコーヒーの抽出がしやすくなります。

安価なプロペラ式は使い方を工夫する

手挽きミルを買った人が、次に欲しくなるのが電動グラインダーです。

手挽きミルでいちばん不満を持たれるのが、「挽くのが大変」というところです。例えば、3人家族でコーヒーを飲む場合、そのたびに30〜40グラムの豆を手回しでゴリゴリ挽くのは、いくら「挽き立てがおいしい」といっても、けっこう大変な作業です。その点、電動グラインダーであれば、まとまった量の豆を短時間で力を使わず挽くことができます。

出所:『至高のコーヒーの淹れ方』(エクスナレッジ)より抜粋
[図表4]ミル(グラインダー)の刃の種類 出所:『至高のコーヒーの淹れ方』(エクスナレッジ)より抜粋

電動グラインダーで最も安価なのはプロペラ式の刃が付いているタイプ。料理で使うキッチンミルとほぼ同じタイプで、5,000円くらいから手に入ります。

ただし、このタイプは挽く前に粒度の設定ができないので、挽く(プロペラ刃を回転させる)時間の長さで調整するしかありません。粒度は時間が短いほど大きく、長いほど細かくなります。また、プロペラ刃への豆の当たり具合にばらつきが出るため、粒度の均一性も取れません。

つまり、挽くたびに粒度が変わりやすく、均一性も取りにくいため、毎回同じ条件でコーヒーを淹れるのが難しくなるのです。

ただ、すでにプロペラ式のグラインダーを持っているという人も多いでしょう。その場合は、以下の2つの点を実践してください。

1つは、挽いている最中に、本体を軽く上下に振ることで、豆をできるだけムラなくプロペラ刃に当ててやること。もう1つは、目的の粒度になるまでの秒数をきちんと把握することです。挽く時間が毎回違うようでは、同じ挽き目を得ることはできません。

この2つができれば、プロペラ式でもかなりのレベルアップが図れると思います。