ペットへのケア方法について、西洋医学的な療法が主流となっている現代。しかし飼い主は西洋医学と東洋医学、両方の「いいとこ取り」をしていくべきだと、現役獣医師で『愛犬と20年いっしょに暮らせる本 いまから間に合うおうちケア』の著者である星野浩子氏はいいます。2つの医学を比較しながら、より効果的なワンちゃんのケア方法をみていきましょう。
7歳でフードを切り替えるのは早すぎる
高齢になったらタンパク質を減らすという考え方は、フードの年齢分けにも反映されています。
「ドッグフードは7歳になったら高齢犬用に切り替える」とよくいわれます。
動物病院で、そのようにすすめられた飼い主さんも多いのではないでしょうか。「7歳からの高齢犬用」と書いてある製品もたくさんあります。
でも、私の経験では、遺伝や体質、すでに病気を抱えているなど、特殊な理由がない限り、フードは7歳ではまだ切り替えなくてもよいのではないかと思います。
一般的に、7歳からの高齢犬用とされているドッグフードは、タンパク質の割合が低くなっています。
でも、早くからタンパク質を減らすと、筋肉がおとろえ、脂肪ばかり増えて、太ってしまいます。あるいは、どんどん痩せてしまうこともあります。そうなると、免疫力が大きく低下してしまう心配もあります。
海外では、子犬でもシニア犬でも同じフードで、食べる量を調整するだけの商品も多くあります。
現代はワンちゃんの寿命が延びていて、高齢期が長くなっています。その長い高齢期を健康的に過ごすためには、やはり必要量のタンパク質をきちんととって、病気にならないしっかりした体をつくっておくことが大切です。
フードの切り替えは、小型犬で10歳ごろから検討すればいいと思います。
健康を維持するために何をどれだけ食べさせるか(食養生)は、おうちケアでもとても大切な部分です。
星野 浩子
ほしのどうぶつクリニック院長
獣医師/特級獣医中医師