7歳でフードを切り替えるのは早すぎる

高齢になったらタンパク質を減らすという考え方は、フードの年齢分けにも反映されています。

「ドッグフードは7歳になったら高齢犬用に切り替える」とよくいわれます。

動物病院で、そのようにすすめられた飼い主さんも多いのではないでしょうか。「7歳からの高齢犬用」と書いてある製品もたくさんあります。

でも、私の経験では、遺伝や体質、すでに病気を抱えているなど、特殊な理由がない限り、フードは7歳ではまだ切り替えなくてもよいのではないかと思います。

一般的に、7歳からの高齢犬用とされているドッグフードは、タンパク質の割合が低くなっています。

でも、早くからタンパク質を減らすと、筋肉がおとろえ、脂肪ばかり増えて、太ってしまいます。あるいは、どんどん痩せてしまうこともあります。そうなると、免疫力が大きく低下してしまう心配もあります。

海外では、子犬でもシニア犬でも同じフードで、食べる量を調整するだけの商品も多くあります。

現代はワンちゃんの寿命が延びていて、高齢期が長くなっています。その長い高齢期を健康的に過ごすためには、やはり必要量のタンパク質をきちんととって、病気にならないしっかりした体をつくっておくことが大切です。

フードの切り替えは、小型犬で10歳ごろから検討すればいいと思います。

健康を維持するために何をどれだけ食べさせるか(食養生)は、おうちケアでもとても大切な部分です。

星野 浩子
ほしのどうぶつクリニック院長
獣医師/特級獣医中医師