ペットへのケア方法について、西洋医学的な療法が主流となっている現代。しかし飼い主は西洋医学と東洋医学、両方の「いいとこ取り」をしていくべきだと、現役獣医師で『愛犬と20年いっしょに暮らせる本 いまから間に合うおうちケア』の著者である星野浩子氏はいいます。2つの医学を比較しながら、より効果的なワンちゃんのケア方法をみていきましょう。
東洋医学によるワンちゃんのケア「新」常識
私はおもに東洋医学を治療にとり入れていますが、西洋医学には西洋医学のいいところがあります。
たとえば、緊急の外科的手術などは西洋医学のほうが向いています。ですから、飼い主のみなさんは「いいとこ取り」でいいのではないかと思います。
しかし、東洋医学をとり入れた治療でさまざまな成果が上がるのを経験してからは、西洋医学の常識のなかに、「それはほんとうにワンちゃんのためになっているだろうか」と疑問を感じるものもあります。
よかれと思ってやっていたことが、じつはそうではないかもしれません。
東洋医学の考え方にふれると、「これまで聞いていたことと違うな」と感じる方もいるはずなので、ここでいくつか例を挙げておきましょう。東洋医学がなぜワンちゃんの健康長生きにいいかも、合わせてお伝えできればと思います。
心臓や腎臓の病気も血のめぐりが大切
年をとってきて心臓や腎臓が悪くなってくると、多くの場合、降圧剤(血圧を下げる薬)が処方されます。目的は「血圧を下げて、心臓や腎臓の負担を減らすこと」です。それが西洋医学の考え方です。
一方、東洋医学では、お灸や鍼によって「全身の血のめぐりをよくすること」をまず考えます。血のめぐりがよくなると、心臓や腎臓にかかっている負担を自然に減らすことができます。
また、血が順調に栄養を運ぶので、それらの臓器自体も元気になってきます。
長くなっている高齢期を元気に過ごすには、血のめぐりをよくすることがもっとも近道で、同時にもっとも効果的です。