長いあいだ犬を飼っていると、「散歩に連れていっても歩きたがらない」など、体調不良が増えてきます。しかし、動物病院で検査をしても異常なし。「年だから仕方ありませんね」と言われて流されてしまった……そんな経験をしたことがある人も多いでしょう。そこで知っておきたいのが、愛犬の元気を取り戻すための方法です。獣医師の星野浩子氏が解説します。
10歳〜13歳の「激動高齢期」前後がカギ…愛犬の体調不良を改善する“意外なアプローチ”【獣医師が解説】
元気がなくなった愛犬…「トシだから仕方ない」は本当?
愛犬の老化による変化に、どう対応すればいいのでしょうか。実際、「なんとなく元気がない」「歩きたがらなくなった」といった体調不良が気になって、動物病院に相談にいった方もいると思います。
多くの動物病院では、「では、血液検査をしてみましょう」となるでしょう。深刻な病気が隠れていないかどうかを調べるためです。
でも、どこにも異常がなければ、たいていの獣医師はこう言います。「仕方ないですね。もう○○ちゃんもトシですから」そこで治療は終わりです。
老化は病気ではありません。病気になっていなければ、治療はできないのです。
残念ながら、ここが西洋の医学の限界です。
あきらめないで!「東洋医学」でワンちゃんを元気に
そういうワンちゃんや飼い主さんに、そこであきらめないでいいことをお伝えしたいと思っています。あきらめないでいいどころか、失われつつある力をふたたび蘇らせることも可能です。
考え方の基本になっているのは、中国で2000年以上の歴史をもつ伝統医学です。西洋医学に対して、ここでは「東洋医学」と呼ぶことにします。
では、なぜ、東洋医学は老化による変化や体調不良にも対応できるのでしょうか。それは、実際に悪くなっている状態だけを見るのではなく、体の中の根本的な原因にアプローチするものだからです。
「老化による体の痛み」も、東洋医学なら”薬・注射なし”で改善可能
たとえば「歩きたがらない」というワンちゃん。体をさわればわかりますが、多くの場合は「年をとってきて、体が痛い」のがその理由です。
そこまでなら西洋医学的なアプローチでも、痛み止めの薬や注射という対症療法的な手はあるかもしれません。でも、それでは一時的に痛みはとれても、またすぐに出てきてしまうでしょう。
東洋医学はさらに先の原因を探ります。痛みを引き起こすのは、血液の流れが滞っているからです。
東洋医学では、その血液の流れをよくして、根本から体を元気にします。血液の流れをよくするには、冷えている体をあたためたり、ツボを刺激したり、その効果が高いものを食べさせたりします。どれも体に負担を与えない、やさしい治療法です。
血液の流れがよくなり、痛みがとれて、歩くことができるようになると、おなかがすきます。のども渇きます。食べたり飲んだりすると、内臓の働きが活発になります。排便や排尿の調子もよくなって、代謝がよくなります。
だんだんプラスの効果が連鎖的に広がっていくと、体全体の調子がよくなり、同時に気力も出てきます。こうして、体と心の両方が健康になります。
東洋医学では「血液の流れをよくして、気力も上げること」が健康のカギを握ります。