シニア犬は水分をたっぷりとる

高齢になってから栄養をどのようにとるかについては、ドッグフードと手づくりごはんのそれぞれについて、順番にくわしく説明します。共通して気をつけたいポイントを先に挙げておきましょう。

まず、水分をたっぷりとることです。人間についても水分をたっぷりとりましょうといわれていますが、ワンちゃんにとっても水分は非常に重要です。体のほとんどは水分で満たされていますから、体内の水分が不足すると、まず体全体の動きが悪くなります。

また、血液がドロドロになって、心臓に負担がかかります。血のめぐりも悪くなるので、腫瘍ができたり、痛みが生じたりします。

1日に必要な水分は、体重1キロあたり約40㏄です。水はいつでも自由に飲めるようにしておきます。腎臓にトラブルがある場合は、それよりたくさん飲みましょう。老廃物を出す能力が落ちているので、たくさん水分をとり、尿を増やして、その能力を補います。

硬水は飲ませない

高齢のワンちゃんはのどの渇きを感じにくくなっているので、自分で飲む量に任せず、飼い主さんが意識して水分をとらせるようにしましょう。冬は少しあたためると、飲みやすくなります。

なかなか水を飲んでくれない場合は、ごはんの水分量を増やす(ドライフードはふやかすなど)、ヨーグルトを混ぜる、犬用ミルクを使う、肉や魚、野菜の煮汁を飲ませるなどの工夫をしてあげるといいでしょう。

自分で舌を動かして飲めるのであれば、体を少し起こして支え、小皿などに入れた水をなめさせます。自力で飲めない場合は、スポイトやシリンジなどを使って少しずつ飲ませます。誤嚥性肺炎を避けるためにも、横になった状態ではなく、体を起こして飲ませましょう。

硬度の高いミネラルウォーター(硬水)は飲ませないでください。カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分を含むため、結石の原因になることがあります。日本の軟水であれば問題ありません。

水を飲む量が急激に増えた、おしっこの量が急激に増えたなどの場合は、糖尿病、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、子宮蓄膿症、腎不全などが疑われるので、病院で診察を受けましょう。