生きていくうえで欠かせない「お金」だからこそ、果てない物欲に身を任せていては、一生満足できず、将来への不安も尽きることはないでしょう。そんな状況への打開策として、作家の有川真由美さんが提案するのは「必要最低限のお金があれば生きていけると考えること」。有川氏の著書『お金の不安がなくなる小さな習慣』より、お金との向き合い方について詳しく見ていきましょう。
メリハリのあるお金の遣い方が大事
かつて私が居候していた家の主人は80代の女性。普段は質素な暮らしでしたが、ふと海外の秘境に出かけたり、お寺に寄付をしたり、いつか入る老人ホームの入居費用を前払いしたりと、ポンと大金を出す人でした。彼女がよく言っていたのは……。
「お金の遣い方は、水道の蛇口と同じ。水の容量は限られているから、普段は蛇口をしっかり閉めておいて、いざ出したいときにジャッと開けばいいのよ」
つまり、水が流れるようにだらだらとお金を遣っていては、いざ出したいときにお金が残っていない。普段は「ちょっと節約」して、こだわりたい点で「ちょっと奮発」する、メリハリのあるお金の遣い方が大事なのだと教えてくれたのです。
たしかに、ずっと節約ばかりでは心が疲弊して、イライラで家族がぶつかったり、ストレスの反動で衝動買いしたりして本末転倒。一方、いつも財布のひもをゆるめて散財してばかりでは、お金の不安がついてまわるでしょう。
「お金がない」と嘆いている人の多くは、大きな出費があるのではなく、小さな出費をちょこちょこ重ねているから、いつの間にかなくなってしまうのです。
「ここはお金をかけたい」と思う点は人それぞれ。「写真館で家族写真を撮りたい」「毎年、夏の音楽フェスに行きたい」「本にはお金をかけたい」などいろいろあるでしょう。そんな「ここぞ」のために、ムリのない程度の節約をするのです。
「節約」とは、安いものを買ったり、なんでもケチったりすることではありません。自分にとって必要なこと、不必要なことをわかって、ムダな出費をしないことです。
節約と奮発のメリハリをつける習慣は、単調な毎日に活力も与えてくれます。
それに、体の健康と同じで、欲しいものをなんでも買うより、普段は少しの自制心を働かせて腹八分目くらいにしておいたほうが、心の健康にいいのです。