ボトムアップ・リサーチを行う必要性
ハインツ、コナグラ、デルモンテなど、ケチャップ業界の大手企業はすべて、これと同じデータどころか、はるかに多くのデータを持っている。だからスコットが自分だけのアイデアを得るには、やはり他のものが必要だった。トップダウン・リサーチでは「発見・解決・拡大」起業プロセスの最初の段階で競争的優位性を得られないならば、それを与えてくれるものは何なのだろうか。
ボトムアップ・リサーチとは、直接的な情報収集を優先して2次的な分析を避け、消費者やサプライチェーン全体を観察し、消費者の声に耳を傾ける手法である。消費者が直面している問題を知るには、消費者が必要だと言う以上のものがいる。それによって消費者が実際に求めているものが明らかになる。
ヘンリー・フォードが述べているように、消費者が欲しがっているものが、本当に求めているものとは違うことはよくある。そのときの経験が消費者の視野を狭めるためだ。ボトムアップ・リサーチの手法は、私たち自身がこのプロセスに持ち込んでしまうバイアスを抑えられるようにもなる。