忙しいと、普段の食事をコンビニなどで済ませることが多い人もいるのではないでしょうか。そのような生活を長く続けていると、どうしても塩分の摂取量が多くなり血圧が上がってしまうため身体によくありません。血圧を下げる必要があった60代の独身男性に、『総合診療科の僕が患者さんから教わった70歳からの老いない生き方』(KADOKAWA)著者、医師の舛森悠氏がすすめたものをみていきましょう。
さまざまな健康効果がある酢とは
酢には血圧を下げる効果が期待されていますが、大規模な研究はありません。
玄米酢を1日15ml(大さじ1杯)飲んだ場合に、血圧が約8%低下したという日本の研究はありますが、研究規模は少々小さく、むしろ食塩を減らすために酢の力を利用する影響のほうが大きいのではないかと考えています。
ところで最近では、リンゴ酢の健康効果が世界的に注目されています。
リンゴを数年発酵させて作るリンゴ酢には、カリウムという血圧を下げる効果のあるミネラルが豊富に含まれています。また、ペクチンという水に溶ける食物繊維が含まれているので、その作用で血糖の上昇を緩やかにしたり、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やしたりといった効果も期待できます。
実際、ある海外の研究なのですが、リンゴ酢の摂取が総コレステロールを低下させ、血糖値を改善したとの報告もあります。
リンゴ酢そのものはやや苦くて飲みづらいため、砂糖が加えられている商品が多いようです。リンゴ酢を選ぶ際には、原材料に砂糖などの糖分が添加されていないかを確認しましょう。また、発酵期間を短縮するために、製造過程でアルコールを添加している商品もあるのですが、こうしたものも避けたほうが無難でしょう。リンゴ酢を手に取る際には、裏面の成分表示で添加物が追加されていないかを確認してみてください。
おすすめのリンゴ酢の飲み方
1日に摂取するリンゴ酢の適量は15ml(大さじ1杯)です。酢は酸性ですから、決してそのまま飲んではいけません。空腹時に飲むと胃の粘膜がダメージを受けます。胸やけやむかつきが起きる可能性もあるのでご注意ください。僕は、リンゴ酢大さじ1杯を炭酸水で割って、蜂蜜を少し加えています。蜂蜜の自然な甘みと炭酸の爽快感がとてもおいしいです。
なお前述のNさんですが、最初は調理に酢を使う程度だったのが、徐々に酢にはまり出し、そのうち毎朝リンゴ酢を飲むようになりました。Nさんの血圧はさらに改善し、最終的には、血圧の薬を卒業することができました。
舛森 悠
医師