老いないために食べるべき食材はどんなものがあるのでしょうか? 著書『総合診療科の僕が患者さんから教わった70歳からの老いない生き方』(KADOKAWA)には、医師の舛森悠氏が実際に接種している食材がまとめられています。今回はコーヒーがもたらす具体的な効果と、コーヒーを飲むうえで気をつけたい注意点を紹介します。
コーヒーにはうつ病のリスクを下げる効果がある
コーヒーには、心や脳を健康に保つ効果が期待されています。例えばうつ病を予防する効果について、興味深い調査があります。アメリカで行われた約5万人の女性を10年間追跡した研究なのですが、1日に2〜3杯のカフェイン入りコーヒーを飲んでいるグループは、まったくコーヒーを飲まないか週1杯のコーヒーしか飲まないグループに比べて、うつ病の発症リスクが20%も低いことが確認されました。
ちなみに、カフェインレスコーヒー、カフェイン入りの紅茶やチョコレートには、うつ病との関連は認められなかったそうです。
この研究では女性についての調査しか行われていないのですが、男性の研究も待たれます。
そのほかにも、コーヒーで死亡リスクが12%下がったとか、アルツハイマー型認知症のリスクを30%減らせたとか、2型糖尿病のリスクが7%減るとか、コーヒーに関する研究報告には枚挙にいとまがありません。すばらしいコーヒー効果です。
しかし、なぜこうした効果が得られるのかはまだわかっていません。そしてもちろん、飲めば必ず病気を予防できるわけではないことにも注意が必要です。
コーヒーを飲むなら1日4杯までがよい理由
一方、コーヒーを飲まないほうがいい人もいることがわかっています。例えば妊婦さんです。妊娠中は、お母さんには適量でもお腹の赤ちゃんには過剰となってしまい、流産したり、胎児の成長に影響を及ぼし低体重になるおそれがあります。
また、心臓の疾患や精神の疾患を有する人は、コーヒーを飲んでいいかどうかをかかりつけ医と相談してください。カフェインには強心作用があるため、人によっては動悸がしたり、不整脈が悪化したりすることもあります。神経が興奮して、不安や過呼吸などの症状が悪化する可能性も考えられます。
さらに、カフェインには耐性があります。カフェインには眠気を吹き飛ばし、頭をすっきりさせる作用があります。ですが、それを期待して摂取量が増えていくと、少量のカフェインでは満足できなくなり、摂取量が増えていきます。どんなものにも致死量があるように、カフェインもとりすぎると体に悪影響を及ぼします。
なお世界保健機関では、1日のカフェイン摂取量は300mgまでと警告していますが、コーヒー1杯(150ml)当たりのカフェイン量は約90mgです。
「何事もほどほどに」と言いますが、コーヒーは1日4杯までが適量かと考えます。
舛森 悠
医師