高齢化が深刻度を増す近年、親を預ける介護施設の需要が高まっています。なかでも、利用料の安い「特別養護老人ホーム(特養)」は特に人気です。しかし特養は、全国でも25万3,000人が入居待ちという状態。そう簡単に入居はできないようです。さらにはせっかく入居できても、退去せざるを得ないケースもあるようで……。本記事では、Aさんの事例とともに、特別養護老人ホームの実態についてCFPの伊藤貴徳氏が解説します。
10ヵ月待った50代一人娘、同居の年金月15万円・要介護3の80代母の〈特養入所〉がようやく叶うも…わずか3ヵ月で“退去”のワケ「一生看てもらえるはずが」【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

母の退去の理由 

母が特養に入所してからおよそ3ヵ月後のある日、Aさんの携帯に着信がありました。 発信先は母の入所する特養からでした。 

 

「お母様の体調がすぐれないので病院へ搬送します。すぐに来てもらえませんか」 

 

診断は軽度の脳梗塞。幸いにも発見が早かったため大事には至りませんでしたが、長期の入院が必要とのことでした。 Aさんは母の無事が判明してとりあえずはひと安心。ただ次に頭をよぎったのは「治療費」でした。

 

 母は病院に入院していますが、特養にも入所している形となっています、そのため入院費と特養の利用料を両方支払うこととなってしまうのです。 その総額はおよそ30万円。母の年金では賄いきれず、Aさんの収入のほとんどを使うこととなってしまうのでした。 

 

入居者が病気や怪我により入院の必要が出てくると、家族は病院の入院費と特養の利用費の両方を払わないといけないことになります。 また、長期の入院となると、規約により退所となる施設もあるため確認が必要です。 

 

Aさんは資金的な問題から、結果として入所まで10ヵ月待った特養を退去せざるを得ませんでした。 

 

「一生看てもらうつもりでしたが、仕方ありません。まずは母の体調の回復が最優先で考えたいと思います。体調が戻ればなんとかなりますから。いざとなれば私は介護に戻れますし、少しでも母が元気になれるようにサポートしていきます」 。

 

 

 

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス

代表